「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」は5月30日、ヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)「クイラ(QUIRA)」創業デザイナーを、コレクション・クリエイティブ・ディレクターに任命した。9月からメンズ、ウィメンズ、アンダーウエア、アクセサリーを手掛け、2025年秋にデビューコレクションを発表する予定。
同氏はエヴァ・セラーノ(Eva Serrano)=カルバン・クライン グローバル・ブランド・プレジデントの直属となる。なお、「カルバン・クライン」コレクションに女性のクリエイティブ・ディレクターが就任するのは、今回が初めて。
レオーニ=コレクション・クリエイティブ・ディレクターは、創業者時代の「ジル サンダー(JIL SANDER)」やフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CELINE)」で経験を積み、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」の「2 モンクレール 1952(2 MONCLER 1952)」のウィメンズなどを手掛けた。20年に、自身のブランド「クイラ」を設立。22年春夏のミラノ・ファッション・ウイークでデビューし、上質なニットやテーラードに捻りを効かせた、タイムレスでありつつユニークなスタイルが話題に。23年5月には、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)による、23年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のファイナリスト9組の1人に選出された。24年3月には、パリで24-25年秋冬コレクションを発表している。
同氏は、「『カルバン・クライン』の新たなストーリーを描く機会を与えられ、とてもうれしく光栄に思う。同ブランドは何十年にもわたり、”大胆な自己表現”というアイデアをさまざまな方法で提示してきた。私はそれを、スタイルとクリエイティビティーを重視しつつ、さらにパワフルに表現していきたい。エヴァが私を信頼してくれたこと、またそのビジョンに深く感謝する」と語った。
19年3月に撤退したコレクション事業の復活
「カルバン・クライン」のコレクションライン「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」は、16年にチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したラフ・シモンズ(Raf Simons)の指揮の下、「カルバン・クライン205W39NYC」として再構築された。その後、18年12月にラフの退任が発表された当初は、名称を変更してリローンチする予定だったが、19年3月にコレクション事業から撤退することを発表。レオーニ=コレクション・クリエイティブ・ディレクターが25年秋にデビューすれば、6年ぶりのコレクションライン復活となる。
親会社PVHコープの業績は?
「カルバン・クライン」の親会社で、ほかに「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」などを擁するPVHコープ(PVH CORP以下、PVH)の24年1月期決算は、売上高が前期比2.1%増の92億1770万ドル(約1兆4379億円)、EBIT(利払前・税引前損益)は同97.3%増の9億2880万ドル(約1448億円)、純利益は3倍以上(同231.1%増)の6億6360万ドル(約1035億円)だった。EBITには為替差益の1100万ドル(約17億円)が含まれている。
主にコスト削減やサプライチェーンの合理化、在庫率の改善などにより利益は増大したものの、地政学上の先行き不透明感やマクロ経済の悪化によって欧州市場が減速し、売り上げは微増にとどまった。
同社はまた、24年2~4月期(第1四半期)の売上高が前年同期比11%減、通期では前期比6~7%減となる見通しを発表している。