ドイツの育児用品ブランド「サイベックス(CYBEX)」が東京からインスパイアされたファッション・コレクション“アーバンモビリティ”を発売する。新たなスタイルを携えた「サイベックス」が目指すものとは?ブランド創業者と日本での販売を担うCTP JAPANの代表の言葉から解き明かす。
ブランド創業者マーティン・ポスが語る
独自の「D.S.F.革新主義」に裏付けられた
ブランド戦略
2005年の創業以来、現代の家族のライフスタイルに寄り添い、安全性と快適さを提供する幅広い製品を開発してきた「サイベックス」。創業者で最高経営責任者(CEO)のマーティン・ポスは「不可能という選択肢はない」というシンプルだが力強い哲学を掲げてブランドをけん引する。「既成概念にとらわれず、業界の基準を超えていく。そのための労力はいとわない」。そう語るポスCEOの目に迷いはない。
その言葉通り「サイベックス」はベビー用品の枠にとらわれず、洗練された製品を通して子育て世代に「ライフスタイル」を提案してきた。根底にあるのは、個性的なデザイン(Design)、最高の安全基準(Safety)、スマートな機能性(Functionality)の3要素を組み合わせた独自の「D.S.F.革新主義」。ポスCEOいわく、これらの要素は「家族の日常生活の基盤」だという。
「D.S.F.の原則」を体現するのが、セレブリティーやインフルエンサーにも愛用者の多いプラチナムラインのベビーカー“プリアム”と電動版の“e-プリアム”、そして“ミオス”、“コヤ”だ。チャールズ&レイ・イームズのデザインに着想し、機能性とスタイルを併せ持つプラチナムラインについては「ジェレミー・スコットなどとの継続的なコラボレーションや、ファッションコレクションを通して多くの選択肢も提供する。今後も新しい製品を発表していく」と説明する。
日本に着想の最新コレクション
“アーバン・モビリティ”
そんな「サイベックス」が、白と黒を基調とするモノトーンの最新コレクション「アーバンモビリティ」を発売する。ミラノやパリのシックなスタイルを彷彿とさせ、ラグジュアリーな色合いが強い従来のコレクションに対して「アーバンモビリティ」が提案するのは、クールでエッジの効いたストリートスタイル。ポスCEOも「『アーバンモビリティ』を通して、ブランドの新たなアイデンティティーを表現していく」と意気込む。
聞けば、このコレクションは日本や東京の都市文化に着想しているという。「デザインは、日本発のさまざまなラグジュアリーブランド、そしてアーティストのヴェルディなどに影響を受けた。機能面では、東京に暮らす忙しい家族のライフスタイルに刺激を受け、ベビーキャリア(抱っこ紐)の開発につながった。『アーバンモビリティ』で、スタイルと機能の両方を求める『欲張り』な家族の子育てを応援したい」と話す。
「製品を通して届けたいのは、
体験であり、価値観であり、
ライフスタイル」
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「日本は、着想源としてだけでなく、常に重要な市場であり、ブランドがグローバルに発展するための原動力。これにはCTP JAPANの貢献が大きい。長年信頼関係を築き上げてきた」。その言葉通り、「サイベックス」は日本市場向けに設計したベビーカーで、市場のシェアを確実に広げている。
「子育て世代のセンスやスタイルを損なうことなく、生活に溶け込む製品を作るのが私たちの使命。しかし、製品を通して本当に届けたいのは、体験であり、価値観であり、ライフスタイルだ。消費者とともに、私たちも成長していきたい」洗練されたライフスタイルブランドとして成長を続ける「サイベックス」に今後も注目だ。
日本の子育て世代に
デザインと機能性と安全を届けたい
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「サイベックス」の旗艦店は、東京・表参道店以外ではオランダ・アムステルダム、チェコ・プラハにあるのみ。表参道の店舗には、オープン以来、洗練された子ども用品を求めて多くの顧客が訪れる。日本の市況と展望について「サイベックス」の日本展開を担うCTP JAPANの大石研治代表取締役に話を聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):日本上陸から10年以上経つ。今の子育て世代はベビー用品に何を求めるのか。
大石研治CTP JAPAN代表取締役(以下、大石):日本の顧客は、デザインにも機能性にも妥協せず、子育て中もスタイリッシュでいられる製品を求めている。そんな日本市場でも「サイベックス」は洗練されたブランドとして認知されている。
WWD:表参道に出店した理由は?
大石:20年2月にオープンしたこの店舗は、世界3都市のみの旗艦店であり、東京は重要な拠点。創業者のマーティンとは12年来の付き合いで、私たちに全幅の信頼を寄せている。彼は日本市場の特殊な需要に対応するため、積極的に投資してきた。表参道は完璧なロケーションだと考えている。
WWD:旗艦店での一番の売れ筋は?
大石:売れ筋はハイエンドな“プラチナムライン”。軽くて小回りの利くベビーカーの需要が高く、特に街歩きにも旅行にも便利な “ミオス(MIOS)”と“コヤ(COYA)”は人気。チャイルドシートは “シローナT(SIRONA T)”がベストセラーだ。概してコンパクトで、操作性が高く、快適なものが支持されている。
WWD:このたび、日本に着想したコレクション“アーバンモビリティ”、そしてコヤ キャリアが発売される。
大石:“アーバンモビリティ”は、6月19日から7月2日まで伊勢丹新宿本店で発売する。日本のストリートカルチャーに着想したこのコレクションは、渋谷や表参道で街歩きを楽しむ子育て世代の顧客を想定している。
日本で大きな可能性がある製品として、本国に日本仕様のベビーキャリア(抱っこ紐)を働きかけ、生まれたのがコヤ キャリア。3Dメッシュのバックパネルが、子どもの体重を分散させ、肩への負担を軽減、人間工学に基づく完璧な姿勢を作り出す。ベビーキャリアに「スタイル」を持ち込んだ革新的なアイテムだ。
WWD:「サイベックス」の日本での今後の展望は?
大石:05年の創業当時、「サイベックス」はチャイルドシートのブランドだった。現在はベビーカーを中心にホーム&リビングまで、ライフスタイルを提案するブランドとして日本でも定着した。次の一歩として、改めてチャイルドシートにフォーカスしている。「子どもの安全を守ること」が私たちにとって最大の価値と信じている。
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