米アパレルブランド「エクスプレス(EXPRESS)」などを運営するエクスプレスは4月22日、日本の民事再生法に相当する米国連邦破産法第11章をデラウェア州破産裁判所に申請した。日本ではあまり知られていないが、1980年設立の「エクスプレス」は、トレンド感のあるオフィスウエアやフォーマルウエアのブランドとして主に20~30代の消費者に人気を博し、90年代には米国内のショッピングモールを中心に600店以上を運営。しかし、2000年代以降は「H&M」や「ザラ(ZARA)」などのファストファッションとの競争激化やアスレジャーブランドの台頭で業績が低迷し、コロナ禍による在宅勤務の増加がそれに拍車をかけた。ここでは、その経緯や今後の見通しなどについてまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月3日号からの抜粋です)
「エクスプレス」は、かつて米国のアパレル小売市場を席巻したリミテッド・ブランズ(LIMITED BRANDS、当時。2013年にLブランズに社名を変更し、現在はバス&ボディーワークス)のオリジナルブランド、「リミテッド・エクスプレス(LIMITED EXPRESS)」として1980年に1号店をオープンした。86年には250店を構えるなど急激に成長し、87年にメンズウエアをスタート。好調を受け、89年にはメンズが独立したブランドとなったものの、2001年ごろにウィメンズと再統合し、ブランド名を「エクスプレス」に変更した。
07年には、リミテッド・ブランズがエクスプレスの株式の75%を投資会社ゴールデン・ゲート・キャピタル(GOLDEN GATE CAPITAL)に売却。10年5月、エクスプレスはIPOを実施し、ニューヨーク証券取引所に新規上場した。その後、リミテッド・ブランズとゴールデン・ゲート・キャピタルはエクスプレスの持分を徐々に減らしていき、12年6月にはいずれも持分を全て手放している。
22年12月、エクスプレスは米ブランド管理会社WHPグローバル(WHP GLOBAL以下、WHP)とジョイントベンチャーを設立。ブランド運営や知的財産権の取得などを目的とした同社の企業価値はおよそ4億ドル(約624億円)で、「エクスプレス」などの知的財産を管理するWHPが所有権の60%を、店舗などの運営を手掛けるエクスプレスが40%を保有。また、取引の一環として、WHPは2億5000万ドル(約390億円)相当分のエクスプレスの新規発行株式を取得した。これはエクスプレスの株式の7.4%にあたる。23年4月、同ジョイントベンチャーは、メンズウエアブランド「ボノボス(BONOBOS)」をウォルマートから7500万ドル(約117億円)で買収した。
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