コロネットは、スタイリストの小沢宏が企画・運営するライブストックマーケットと協業し、ファッションイベント「ライブストックマーケット・ウィズ・コロネット(LIVE STOCK MARKET with CORONET)」を5月10、11日、東京・シェアグリーン ミナミ アオヤマで開催した。同イベントは一般客にも開放し、2日間でのべ635人が来場した。
ライブストックマーケットは、“デッドストックを生き返らせる”というメッセージを掲げたプロジェクトだ。小沢が、アパレルメーカーやセレクトショップが抱える経年在庫(デッドストック)をスタイリストの視点でセレクトし、独自のストーリーを加えてアップサイクルしたアイテムを“ライブストック”として販売している。3回目となる今回は初めて企業と協業し、コロネットのサンプルセールと共に開催した。小沢の活動にコロネットが賛同し、半年前から企画を進めてきたという。テーマは、“イッツ ノット セール、ディス イズ ファッションフェス!(ITʼS NOT SALE, THIS IS FASHION FES!)”だ。
アティチュードを伝える
ファッションフェス
会場には、小沢とコロネットのスタッフが厳選した「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」や「ランバン(LANVIN)」「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」など、コロネットが扱う20ブランド以上の2024年春夏シーズンのPR用サンプル約500点と、小沢が手掛けるセレクトショップ「エディストリアル ストア(EDISTORIAL STORE)」のアイテムが並んだ。各アイテムには、小沢が“キャプション”と呼ぶ下げ札を付けて、スタイリングアイデアなどを小沢とスタッフの手書きメッセージで添えた。販売額は上代の約半額だが、24年春夏商品は店頭ではまだ定価で販売しているため、イベント利益の全額は「緑の募金」に寄付し、社会貢献につなげる。寄付金は、“森の力”を未来へつなげる活動や環境保全、地球温暖化対策に充てられる。
サンプルセールは、業界関係者向けに開くケースがほとんどだ。一般客に向けて開放したのは、「業界特有のエクスクルーシブなイベントではなく、枠を取っ払い、みんなを巻き込んでインクルーシブにした方が時代に合っていると感じた」と小沢。
七宮信幸コロネット社長は、「現在のファッションシステムでは、シーズンが変わるだけで商品価値が自動的に下がる。私たちが扱う商品は、たった1シーズンで価値が下がるようなものではない。過剰生産や在庫焼却という課題を、商品価値を下げて解決するのではなく、見せ方を工夫したり、付加価値を添えたりすることで、いかに届けるか——そんな小沢さんの活動に感銘を受けた」と、持続可能な社会やモノを長く使おうという風潮とシステムの矛盾を指摘しつつ力強く述べた。
小沢は、「『ライブストックマーケット・ウィズ・コロネット』は、セールショップでもセールイベントでもない。アティチュードを伝えるファッションフェスと捉えてもらえれば」とコメント。そして、「コロネットのような老舗企業が、ライブストックマーケットの活動に興味を持ってくれて、一緒に取り組めたことはいい体験になった」と続けた。