アダストリアと取引のあるデベロッパーや繊維商社の担当者、企業価値を分析する証券アナリスト、アパレル業界に詳しいコンサルタントやジャーナリストらは、アダストリアの強みと課題をどのように分析しているのか。取引先や有識者の計9人に、「Q.1アダストリアの強みは何か」「Q.2アダストリアに“修正力”を感じたことはあるか」を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月3日号からの抜粋です)
風早隆弘
UBS証券シニアアナリスト コンシューマー・セクター ジャパン・ヘッド
多様な事業が収益性に還元されれば
評価はさらに高まる
Q.1 アダストリアの強みは何か
強みは、時代の方向性を読んで自社を変えていっている点。世代交代が進んでいることも強みの1つ。紆余曲折はあったが、木村社長を中心とした次世代チームがしっかり経営にあたっている。課題は稼ぐ力。業績好調だが、現状にはとどまらない潜在力がある。時代を先読みして行っている多様な事業が付加価値となって収益性に還元されれば、株式市場での評価がさらに高まるだけでなく、社会に与えるインパクトも大きくなる。
Q.2 アダストリアに“修正力”を感じたことはあるか
修正力という言葉が適切かは分からないが、福袋を業界に先駆けてやめたことは印象深い。「ラコレ(LAKOLE)」の今の成長も修正力あってのもの、「ニコアンド(NIKO AND...)」も当初のMDからは大きく変化している。“仮説は間違う”という発想で、成長に向けて常に自身を改善していける点がすばらしい。
三好大輔
JR九州駅ビルホールディングス取締役常務執行役員
どんどん先手を打って
変革していくスピード感
Q.1 アダストリアの強みは何か
Q.2 アダストリアに“修正力”を感じたことはあるか
自分が新入社員だったころ、飛び込みで木村治社長が当時運営していた福岡の路面アパレルショップに営業をかけた。木村社長とはそこから24年の付き合い。アダストリアは当社が運営するアミュプラザなど6館に計40店ほど出店している。時代の流れに対しどんどん先手を打って変革していくスピード感が同社の強みであり、修正力の表れだと思う。ライフスタイルや飲食への拡大もそうだし、物流環境が厳しくなることを見越して、かなり前から自社物流にも取り組んできた。現場スタッフを大切にする点も特徴だ。コロナの随分前から、休館日や営業時間短縮を強く主張しており、われわれも元日休業や一部の館での営業時間フレックス制などを取り入れている。地方にも関わらず、各館のテナント総会にも毎回福田三千男会長か木村社長が来てくれ、多忙の中で理事も積極的に引き受けてくれる。その分、理事会でははっきり要望を言われる。A&A会という、2社の担当者や幹部が集まってゴルフをする会合も年1回あり、現場の担当者レベルでも、経営陣でも緻密なやり取りができている。
小島健輔
小島ファッションマーケティング代表
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