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特集 アダストリア 第10回 / 全10回

アダストリア木村社長「勝負すべき時に、守りに入ってはいけない」

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PROFILE: 木村治/アダストリア社長

木村治/アダストリア社長
PROFILE: (きむら・おさむ)1969年生まれ、茨城県出身。90年に福田屋洋服店(現アダストリア)に入社し、店長などを経験。2001年に独立してワークデザイン設立。同社は07年にドロップ(トリニティアーツの前身)と経営統合し、11年にトリニティアーツ社長に就任。16年にアダストリア常務、18年副社長を経て、21年取締役社長、22年から代表取締役社長。一緒に写っているのは、アダストリアが23年に創業70周年を記念して作ったゆるキャラ“Aモンスター”の着ぐるみ PHOTO:KAZUO YOSHIDA

アダストリアは2024年2月期に過去最高業績を更新し、ファッション市場の中で存在感を増している。経営トップによる戦略転換から、商品や販売の現場での業務改善まで、同社の修正力はどのように組織文化として根付いていったのか。その先にどんな企業像を目指すのか。アダストリアを率いる木村治社長に尋ねた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月3日号からの抜粋です)

WWDJAPAN(以下、WWD):木村社長は常々「当社の強みは修正力」だと話しているが、どういう意味なのか?

木村治社長(以下、木村):振り返ると、アダストリアは修正の繰り返しによって今日の姿になった。過去4回、ビジネスモデルを変えた。1回目が紳士服店からメンズカジュアル店への業態転換(1973年)、2回目がチェーンストア化(82年)、3回目がストアブランドによるOEM・ODM型モデルへの移行(97年)、4回目が自ら企画・生産を手掛ける垂直統合型SPAへの挑戦(2010年)。現状に甘んじずに修正してきたからこそ、競争の激しいファッション市場で成長し続けることができた。

福田三千男会長の柔軟性

WWD:頭では分かっていても変えることは容易ではない。

木村:会長(福田三千男氏)のリーダーシップが大きい。僕はずっと横で、会長が修正を繰り返し、結果を残す様子を見てきた。経営にかかわるような大きな修正だけでなく、日々の業務改善だって同じだ。そして修正はスピーディーでなければ、うまくいかない。経営トップの決断の速さ、現場に任せるところは任せる権限移譲のメリハリ。オーナー企業だからというよりも、会長自身がとても柔軟な人なのだと思う。

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