5月末の週末に茅ヶ崎へビーチクリーンの体験取材に行ってきました。主催は海洋汚染・水質汚染を軽減できるプラスチック代替素材の開発や消費財の企画、製造販売を行うサキュレアクト。同社は海洋汚染を少しでも減らせるようにとチーム530を組織し、2023年からビーチクリーン活動に取り組んでいます。
8ホテルで環境について学ぶ
集合場所は茅ヶ崎の8ホテル(8HOTEL)。9回目の今回は、家族や友人同士、1人で参加する人など約20人が集まりました。ホテル内にあるサウナ後の“ととのえ部屋”で塩原祥子サキュレアクト代表取締役が環境汚染の現状を語り、その後クイズ形式で地球環境の現在地を理解していきます。例えば、「南極の氷が全部溶けたら海面上昇はどの程度か?」の質問に、1.約60m、2.約30m、3.約90mの選択肢が出ます(正解は1です)。塩原代表は回答と共に「茅ヶ崎の海岸も侵食が進んでいるため、毎年砂を撒いている」など身近で起きていることも加えて伝えていました。
講義の最後は、今日からできることとして、
・燃えるゴミを分別して資源へ(雑ゴミに出す)
・買い物は必要なものだけを購入する
・過剰包装の物は買わない
・洗濯するときマイクロプラスチックを流さない洗濯ネットを使用する
・節電した生活を
・街中でゴミを見たら拾って、ゴミ箱へ
とリデュース、リユース、リサイクルの重要性を伝えます。
30分ほどの講義の後、ランチタイムに。地域のオーガニック野菜を使ったスープとメイン(ホットドックorチリコンカーンドック)、ドリンクを楽しみます。塩原代表は各テーブルを回り、参加者に講義で感じたことなどを聞いたり、談笑したりしていました。
無限に広がるマイクロプラスチック
ランチ後は20分程度歩き茅ヶ崎の海岸へ。海岸に着くとスタッフからトングとゴミ袋、手袋が配られ、ビーチクリーンを開始します。それぞれが思い思いの場所で、海岸に寄せられたゴミを拾っていきます。鎌倉在住の女性は「幼少時から鎌倉の海を見ていますが、年々汚染されているのが分かるんです。何か行動を起こさないと思っていたところ、インスタでビーチクリーンの参加者募集を見て応募しました」。彼女は「友人に鎌倉に観光に来てと誘えますけど、ビーチクリーン活動を一緒にやろうと誘いにくいんですよね」とも。男女問わず1人で参加する人が多かった理由は、そういう心理的ハードルの高さがあるのかもしれません。
「エレミニスト(ELEMINIST)」の営業担当者は、仕事で一度体験したそうですが、今回はプライベートで参加。前回必要に感じたことから使わなくなったステンレス製のメッシュザルを持参していました。そうなんです。海洋ゴミといえば、ペットボトルや空き缶などを思い浮かべがちですが、プラスチック製の商品が紫外線で細かくなり、砂と大差ない大きさになっているものが多いのです。マイクロプラスチックと言葉では理解していましたが、実際に無限に広がるマイクロプラスチックを目にすることで回収の難しさを痛感しました。砂と同じような大きさのものを選別して取るのは難しく、なおかつ風が吹いているとせっかくとっても飛んでしまうという状況に苦戦しました。
30分ほどのクリーン活動を終えると、回収した成果を発表します。大物自慢(笑)として、木片や魚網、マスク、洗濯バサミなどが集まりました。ちなみに前回(3月開催)は、ドラム缶やスニーカーなどがあったそうです。時期や天候によりゴミの種類が変わるとのこと。成果発表を終えた際、参加者の一人であるロシア人女性が、「食用油はトイレに流しますか?」と投げかけざわつきが。もちろん、誰一人して流す人はいませんでしたが、ロシアでは約半数がトイレに流しているという驚愕の事実を知りました。
環境問題の情報発信が少なすぎる
塩原代表は「日本は環境問題の情報発信が少なすぎます。共感する人を増やさないと状況は変わりません。自分たちができることから始めたんです」とチーム530を立ち上げました。インスタグラムで情報発信やビーチクリーン活動などを定期的に行っています。また8人のアンバサダーを起用し、それぞれが環境問題について発信しています。今後は滋賀や長野、愛知、神奈川、東京にいるアンバサダーと連携し、クリーン活動などの拠点を拡大したいそう。「茅ヶ崎と琵琶湖のクリーン活動を同時間に実施し、オンラインでつなげて作業することも視野に入れています」とのこと。
海洋汚染や地球環境の悪化は加速しています。近年は、九州の日本海側に生息するブリが北海道でも多く獲れるようになるなど、地球温暖化の影響は私たちの食生活にも直結しています。今ある生活を大きく変えなくとも、まずは自分でできる範囲で行動することから始めてみませんか。レクリエーション感覚でも楽しめるビーチクリーン活動、おすすめです。