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「成分トレンド」で注目度増す! 今、なぜ「ペプチド」なのか?

スキンケアを成分で選ぶトレンドは、2024年も続きそうだ。ビタミンC、ナイアシンアミドに続くネクスト成分は何か?化粧品の発表会で、「ペプチド」を耳にする機会が増えた。例えば、今年日本上陸を果たした韓国スキンケアブランド「パーセル(PURCELL)」は、独自のペプチドエキスを高濃度配合した美容液“パーセル PD フェイスセラム”(30mL、5610円)を発売。また、パーソナライズヘアケアブランド「メデュラ(MEDULLA)」は、洗い流さない髪用美容液“メデュラ ハイパーリンクセラム”(55mL、定期3960円、会員価格4400円、通常5280円)に、ダメージ補修が期待できる低分子ペプチドを採用している。

ぺプチドは、アミノ酸が2個以上結合したもので体内にも存在する。コラーゲンやエラスチンに働きかけ、若々しい肌を保つという。今回は、美容業界の3人のキーパーソンに、ペプチドがマーケットで支持される理由を聞く。回答者は、Dr. デス・フェルナンデス「エンビロン(ENVIRON)」スキンケアシステム開発者、竹岡篤史スキンケア成分ハンター、山中美智子「ファヴス(FAVS)」プロデューサー。

――― 「エンビロン」スキンケアシステム開発者であるDr. デスが23年に来日した時「これから注目すべき成分は、エイジレスな肌に欠かせない『ペプチド』」と断言していた。理由は?

Dr. デス・フェルナンデス「エンビロン(ENVIRON)」スキンケアシステム開発者(以下、Dr. デス):「エンビロン」は、ペプチド配合の化粧品を25年以上開発してきた。まずペプチドは、アミノ酸が鎖状につながったもので体内に存在する。タンパク質を構成する物質であること、特にアミノ酸配列は、ある特定の細胞が他の細胞の活動を変化させるための指示伝達物質であるということから話した方が良いだろう。ペプチドは、組織間の「会話」に不可欠な物質であり、対象の組織と調和しながら、さまざまな共鳴で振動している。私たちの体内には20種類のアミノ酸があり、ペプチドはたった2つのアミノ酸が結合した「ジペプチド」、あるいは6つの結合「ヘキサペプチド」であったりする。アミノ酸が長く連なったものは、「ポリペプチド」と呼ばれる。ジペプチドの場合、20種のアミノ酸の組み合わせは1000通り以上にもなり、ペプチドのサイズを大きくすればその組み合わせは何十万通りにもなるが、そのうち、効果が認められるペプチドはほんのわずかだ。

皮膚におけるペプチドの研究は、創傷部位に含まれるコラーゲンやエラスチンの再生・形成を刺激することの発見に始まる。また、ペプチドは、若い人の肌に多く含まれ、肌の若さを保つ働きがある。光ダメージによってコラーゲンとエラスチンは壊されてしまうため、若々しい肌を保ちたいのであれば再生する必要がある。 ここまで、天然ペプチドについて述べてきたが、色素沈着(シミ)のコントロール・脂肪細胞に働きかけるなどの有効性が認められた「合成」ペプチドも存在する。この分野は急速に成長しており、毎月のように新しいペプチドが開発されている。発表前の 新しいペプチドを提供してくれる企業もあり、「エンビロン」は非常に早い段階でこれらの商品の処方や実験を開始することができると自負している。特に、“C―クエンスシリーズ”などに、先駆けてペプチドを配合してきた。

――― 「ファヴス」では“ペプチドハイドレーティングアンプル”(3190円)にペプチドを配合している。その理由は?

山中美智子「ファヴス」プロデューサー(以下、山中):一般的に、ペプチドや成長因子は皮膚の細胞の分裂・再生をサポートするといわれている。「ファヴス」のアンプルには一種類のペプチドを入れたのではなく、さまざまなペプチドと成長因子を同時に配合し、多方面にアプローチすることを目指した。選定したペプチドは、EGF1g当たり2000万円以上と非常に高価だ。また高含量の単一製剤として使用した場合、肌が敏感になるといった副作用を想定し、複合ペプチド+成長因子とし、商品価格を抑えるように努力している。

―――「ペプチド」をスキンケアで継続的に使うメリット、期待できる効果は?

竹岡篤史スキンケア成分ハンター(以下、竹岡):ビタミン同様に肌の持つ機能を助けたり、一時的に活性化させたり、沈静化を早めたりして、肌が持つ再生力を高めたり、健康な状態でいようとする力「恒常性」を高めたりする。ペプチドは、体の重要な機能、再生や代謝のスイッチをONやOFFにし、いわば肌の「向上力」を上げる成分といえる。

Dr.デス:ペプチドは、コラーゲンやエラスチンなどを最大限に増やし、引き締まった健康的な厚みのある肌を手に入れることができる。ペプチドは、継続的に使用することが望ましい。はじめは濃度が低く、望ましい効果を感じられるレベルまで組織中のペプチド濃度を高めるには数日かかるからだ。もうひとつの理由は、ペプチドが皮膚を通過する際に変質し、吸収されたときに活性が低下してしまう可能性があるためだ。あるメッセンジャーペプチドは、コラーゲンをより多く生成する「機械のスイッチを入れる」かもしれないが、永久持続的ではない。ペプチドがスイッチ機能を果たさなくなると、別のペプチドに交換しなければならないことも覚えておきたい。

――― なぜ、今ペプチドが見直されているのか。自身を「敏感肌」と感じる人が増えていることとも関係する?

竹岡:ペプチドは、既に20年以上に渡り世界中で応用されてきた。肌への効果も研究されていて、信用できる成分だ。私の知る限り、化粧品で使用されるペプチドのほとんどは非常に短いオリゴペプチドからできており、アレルギー性が発生しないように設計されている。肌へどのように働くのかも考えて開発されているので、非常に低濃度で効果を示すことも特徴だ。有効性を保ちながら、肌にやさしい安全性も設計ができることが魅力。敏感肌や刺激を感じやすい人にも使用可能な成分であり、カスタマイズしやすいのもメリットだ。新しいものに目移りしやすい化粧品業界において、温故知新の動きなのではないか。

山中:韓国のビューティトレンドとも関係している。Cosmetic Mania Newsが報じた、2023年時点の韓国コスメのトレンド展望データによれば、エイジングケアのニーズが1位だった。日本でも、エイジングケアを中低価格アイテムでかなえたいニーズが高まっていて、エイジングケアに長けた成分としてペプチドが見直されている。

――― 今後「ペプチド」以外で、ニーズが高まりそうな注目成分は?

山中:フサザキスイセン根エキスやツボクサエキスなど植物由来成分だ。「ファヴス」では、成長因子などをリポソーム化して肌に適切に届けることも大切にしている。

竹岡:毛穴に着目したスキンケア成分の開発が広がってきている。中でも注目しているのが「ローヤルゼリー酸(表示名称は、10-ヒドロキシデセン酸、10-ヒドロキシデカン酸、セバシン酸など)」だ。ハチミツにはなく、ローヤルゼリーにのみ含まれる脂肪酸の一群をローヤルゼリー酸と呼ぶ。例えば、ヒドロキシデカン酸、セバシン酸は「シシ(SISI)」のクレジングの共通成分、「マナラ(MANALA)」の“オンリーエッセンス”(100mL、6050円)や“アクナル”シリーズに採用されている。また、アゼライン酸などの「ヒドロキシ酸」にも注目している。

Dr.デス:健康で美しい肌をつくり、それを維持するための要件をペプチド単独で、全てカバーできるわけではない。ビタミンAはDNAを健康な状態に保ち、細胞を保護する重要な分子。全てのスキンケアにおいて何らかの形で取り入れるべきだ。問題は、太陽の光を浴びるたび、皮膚に備わっているビタミンAが破壊されることでシミのような色素沈着や、シワ、ニキビが起きたりする。ビタミンAはヒアルロン酸生成に不可欠な成分であるため、ビタミンAが不足すると乾燥肌につながる可能性もある。さらに、ビタミンCなどの抗酸化物質を補う必要があるほか、肌質によってはAHA(アルファヒドロキシ酸)を使うこともオススメだ。エンビロンのC-クエンスセラム(35mL、1万8040円~2万2770円)には、ペプチドだけではなく、ビタミンAやC、EEなど多彩な美容成分を採用している。

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