ファッション

「ディーゼル シブヤ」が刷新 グレン・マーティンスがこだわりを語る

「ディーゼル(DIESEL)」はこのほど、東京・渋谷の旗艦店「ディーゼル シブヤ」をグレン・マーティンス(Glenn Martens)=クリエイティブ・ディレクターの新ストアコンセプトで大幅リニューアルした。かつて建築を学んだマーティンスがこだわり抜いた店内は、メタリックシルバーを基調にしたインダストリアルな空間に様変わり。イタリアンレストラン「クッチーナ ディーゼル ファーム」も新たにオープンし、「ディーゼル」を五感で楽しめる世界唯一のストアだ。

世界唯一の大型コンセプトストア

同店は2フロア構成から成る国内最大級。1階は最新コレクションやキッズに加え、デニムのカプセルコレクションやシルバージュエリーのチョーカーなど同店限定商品も並ぶ。アメリカのハイウエイから着想を得たという巨大なビルボードには、ギネス世界記録のタイトル保持者らが出演する2024年春夏キャンペーン広告を掲出し、「自由と不遜、個性主義」を重んじるブランドの世界観を盛り上げる。同フロアにはレストラン「クッチーナ ディーゼル ファーム」も併設する。

地下1階には「ディーゼル」のセカンドハンドのアパレルや90年代前半のデッドストックデニムを限定販売する「アップサイクル・ラボ」を開設した。また渋谷店のオープン時から気鋭アーティストを積極的にフィーチャーしてきたアートギャラリーでは引き続き、年4回のアート展の開催を予定する。マーティンスに同店のこだわりを聞いた。

大胆不敵なアイデンティティーを
体感できる空間に

WWDJAPAN(以下、WWD):同店のこだわりは?

グレン・マーティンス(以下、マーティンス):着想源はかつて“ルート66”などのアメリカのハイウエイに立てられていた「ディーゼル」のビルボードだった。より世界観を強く演出するため、壁は破壊されたビルボードを想起させる未加工のスチールパネルで覆った。もちろん、ブランドを象徴する赤を用いたラッカー仕上げもポイントだ。

WWD:ECでの買い物が普及している現代において、実店舗では何を重視する?

マーティンス:実店舗は「ディーゼル」のコミュニティーにとって非常に重要なランドマークだ。ブランドの精神やコレクションの世界観を直感的に感じられるような没入型空間を生み出すことにこだわった。加えて色、ムード、音楽が相まってコレクションを盛り上げる忘れられないくらいインパクトのある空間でなければならない。店内では至る所からにじみ出る大胆不敵なブランドのアイデンティティーを感じてもらえるはず。レストランをはじめ、他の店舗よりもさまざまな要素を組み込んでいるのも特徴だ。メッセージの一貫性は重視しつつも、同時に「ディーゼル」の多面性も感じてもらえるようにデザインしている。

WWD:アートギャラリーを併設している点も特徴だ。

マーティンス:「ディーゼル」はライフスタイルブランドだからこそ、アパレルを並べるだけでは終わらない。ギャラリーで地元の気鋭アーティストをフィーチャーする姿勢は、さまざまな創造的活動に表現の場を与えたいと願うブランドの想いがあってこそだ。

WWD:渋谷にはどんなイメージを持っている?

マーティンス:渋谷は昼も夜も多くの人でにぎわっている。東京の中でも間違いなく最もダイナミックな街の1つだろう。ショッピングだけでなく、アートや飲食店でもホットな店が集まるエリアだ。改めて、「ディーゼル」が店を構えるには最適な街だと思う。

WWD:2024-25年秋冬コレクションは一般客を会場のスクリーンに映し出す演出で、その多様でユニークな「ディーゼル」コミュニティーに感銘を受けた。

マーティンス:前回のショーは、「ファッションを民主化する」というコンセプトを改めて打ち出すことが狙いだった。コンセプトを気に入ってもらえてうれしいよ。また本番までは普段は見えないショーの舞台裏を公式YouTubeで公開した。ほかのブランドとは異なる「ディーゼル」独自の視点を強調したかったからだ。ライフスタイルブランドである私たちは、できるだけ多くの人と会話したいし、これまでもそうしてきた。あらゆる人が「ディーゼル」コミュニティーの一員になれるんだ。

WWD:最後に「ディーゼル」ではどんな点にやりがいを感じる?

マーティンス:「ディーゼル」が実験する自由を与えてくれている部分。私だけでなく、私がデザインした服を着用する人々にも、実験的なファッションを楽しむ自由を与えてくれている。

限定アイテムも多数登場

同店でしか手に入らないカプセルコレクションも登場した。デニムジャケットやカーゴパンツ、パッファージャケット、トラックパーカなど、ブランドのDNAであるデニムを主役にした全13型と、シルバージュエリーチョーカーをラインアップ。全てユニセックスで販売する。

イタリアの郷土料理が楽しめる
「クッチーナ ディーゼル ファーム」

ディーゼル創始者でOTBグループ会長のレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)が故郷のイタリア・ヴェネト州に構えるレストラン「クッチーナ ディーゼル ファーム」が、「ディーゼル シブヤ」内に日本初上陸した。本場で提供する伝統的なヴェネト州の郷土料理が味わえる。淡いピンクの内装でどこか懐かしさを感じる居心地のいい店内はグレン・マーティンス=クリエイティブ・ディレクターが監修した。

名物の直径約3mmの自家製手打ちロングパスタ「ビーゴリ」を使用したメニューをはじめ、柔らかくなるまで時間をかけて煮込んだ牛肉の「スペッツァティーノ」、甘酸っぱい味わいが日本人にもなじみ深い「イワシのサオール」、タラをペーストにした“バッカラマンテカート”など歴史ある料理が楽しめる。加えてレンツォが30年前から所有する「ディーゼル ファーム」で生産されたワインも。

代表的な“ロッソ ディ ロッソ”はフルーツの濃い味わいとスパイシーなフィニッシュで重厚さが心地よいバランスの取れた赤ワイン。洋梨、桃、タンポポ、砂糖漬け柑橘類と白コショウの魅惑的な香り、さらにミネラル豊かで力強い味わいの白ワインの“ビアンコ ディ ロッソ”などをラインアップする。

ロッソは「私の夢はメード・イン・イタリーの文化を、食とホスピタリティーの分野でも感じてもらうこと。シェフたちは、イタリアに1週間ほど滞在してもらい現地のレストランとさらには私の家でも修業してもらった。渋谷のレストランでも実食したが本国よりもおいしく驚いた。グレンのおかげで店内も、ほかのフロアと統一感のある現代的な仕上がりになっている。ファッション同様に食も、自分が何者であるかをつくり上げる重要な要素だと思う。同店では『ディーゼル』を着て、味わって私たちの世界観を楽しんでほしい」とコメントした。

INFORMATION
「ディーゼル シブヤ」

時間:11:30 - 20:00
定休日:不定休
場所:「ディーゼル シブヤ」
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti 地下1階、1階
電話番号:03-6427-5955

イタリアンレストラン「クッチーナ ディーゼル ファーム」

時間:11:30 - 23:00(L.O. FOOD 22:00 / DRINK 22:30)
定休日:不定休
場所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti 1階
電話番号 : 03-3409-5670

問い合わせ先
ディーゼル ジャパン
0120-55-1978