「カルティエ(CARTIER)」は、“カルティエと日本 半世紀のあゆみ『結 MUSUBI』展 ―美と芸術をめぐる対話”を東京国立博物館 表慶館で、7月28日まで開催している。同展では「カルティエ」が日本初のブティックをオープンしてから50年を記念し、「カルティエ」と日本を結ぶストーリーを展開する。左右対称の構造をなす表慶館の右側では日本が「カルティエ」に与えた影響に焦点を当て、「カルティエ コレクション」を中心としたアーカイブピースの展示と共に歴史を振り返る。一方左側では、カルティエ現代美術財団と日本人アーティストとの結びつきを紹介する。貴重なアーカイブピースやジャンルを超えたアーティストの作品が必見なのは言わずもがな、ダイナミックな展示空間まで同展の見どころを紹介する。
日本が影響を与えた
「カルティエ」の歴史をひも解く
最初の展示室となる右側1階では「カルティエ コレクション」を中心に、ルイ・カルティエの時代から最新作に至るまで、日本文化がどのようにクリエイションに影響を与えてきたのか、その歴史を振り返る。美術愛好家でもあったルイ・カルティエが収集した日本のオブジェや書物が紹介されており、印籠や紋様などが後の「カルティエ」を代表するスタイルとなった背景がうかがえる。もう1つ、“パンテール”に代表される自然や動植物も「カルティエ」の重要なインスピレーション源だ。1903年に発表した藤をかたどったブローチと共に展示されている杉本博司の「春日大社藤棚図屏風」は自然を賛美する象徴として紹介されている。
2階では、日本で開催された過去5回の展覧会と74年の日本初出店以降の歩みを振り返る。88年に青山・スパイラルホールで開催した初の展覧会から2004年に京都の醍醐寺霊宝館で開催した巡回展、記憶に新しい19年に国立新美術館で開催された「カルティエ、時の結晶」展まで展覧会の歴史を「カルティエ コレクション」の貴重なアーカイヴピースとともに振り返る。奥に進むと、イベントに際して制作された作品の数々を鑑賞することができる。日比野克彦が手掛けた“トリニティ”のリングを連想させる作品や“タンク”100周年を記念して制作された香取慎吾の作品、阿部千登勢との出会いから生まれた限定の“トリニティ”も展示している。
ジャンルを超えて
現代アートの作品が集う
迫力のある空間
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左側ではカルティエ現代美術財団と日本のアーティストの結びつきを紹介する。2階回廊に横尾忠則の肖像画作品を皮切りに、三宅一生や森村泰昌のインスタレーションに加え、荒木経惟、ウイリアム・エグルストンの写真、村上隆、松井えり菜の絵画作品を展示している。また、北野武、森山大道、宮島達男の作品は日本初公開。いずれもジャンルを超えたアート作品の世界を冒険するような没入感を楽しめる展示となっている。
より深く知るために
見逃せないトピック7つ
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この他、会場には杉本博司の数理模型シリーズが展示されるなど、見逃せない作品がいたる所に散りばめられている。盛りだくさんな同展を振り返り、さらなる鑑賞ポイントを紹介する。
まず、エントランスでは、澁谷翔の「日本五十空景」が出迎える。同作は歌川広重の「東海道五十三次之内」に着想し、日本各地の地元新聞紙の一面に空の景色を描いた新作で、同展の“結び“のテーマを体現した作品である。過去と変わらない空を通じて、現在と未来をつなぐように時間の移ろいを表現している。
右側2階では、19年杉本博司と榊田倫之の新素材研究所が会場デザインを担当した「カルティエ、時の結晶」展で使用された什器を使用していて、「カルティエ」の展覧会史をより深く再確認することができる。また、「カルティエ コレクション」と共に紹介されている、日比野克彦が97年に制作した“トリニティ”リングを連想させる作品や17年に“タンク”ウオッチの100周年を祝福するために作られた香取慎吾の絵画からも日本の影響、美へのオマージュを垣間見ることができる。
2階回廊では、カルティエ現代美術財団と日本のアーティストを結ぶストーリーの入り口のように、横尾忠則の肖像画シリーズから20点を展示。左側1階では、作品がちりばめられている中で、荒木経惟が森山大道を、森山大道が横尾忠則と荒木経惟を撮影したポートレート作品が展示されていて、アーティスト同士の“結”を象徴しているようだ。
最後に、左右の階段では、束芋のデジタルインスタレーションが展示されているが、鑑賞するタイミングでポイントが異なるため、少しだけ時間をかけて鑑賞することをお勧めする。
展覧会の記念グッズを紹介
ポスタービジュアルをプリントしたトートバッグ(3960円)、ノート(1650円)、図録(5000円)、「カルティエ コレクション」をプリントしたペーパーウェイト(4950円)、ポストカード(220円)をラインアップする。ノートは「日本五十空景」が描かれたものと貴重な「カルティエコレクション」のジュエリーが最初と最後にページに印刷されたもの2種類を販売する。
会期:6月12日〜7月28日
時間:9:30〜17:00(金、土曜は〜19:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜、7月16日 ※7月15日は開館
会場:東京国立博物館 表慶館
住所:東京都台東区上野公園13-9
入場料:一般1500円、大学生1200円、高校生以下無料
050-5541-8600(ハローダイヤル)
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-1847-00