“ミス ディオール”の誕生は1947年まで遡る。クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が「愛のように香るフレグランスを」との願いを込め、自身初のコレクションのドレスの最後の仕上げとして制作した。今年5月にはフランシス・クルジャン(Francis Kurkdjian)=パフューム クリエイションディレクターが、その初代“ミス ディオール”を再解釈した新作“ミス ディオール パルファン”(35mL、1万3200円/50mL、1万8040円/80mL、2万3100円)を発売したことでも話題となった。本展覧会では、“ミス ディオール”の名前の由来となったディオールの妹カトリーヌ(Catherine)とのエピソードや、3代目クリエイティブ・ディレクターが1960年代に“ミス ディオール”と名付けて始動したプレタポルテ・コレクションなどを展示し、ビューティとファッションの両面から“ミスディオール”を纏う女性を描く。
巨大“ミス ディオール”がエントランスでお出迎え
半世紀を超えるヘリテージが一堂に
世界限定150個の“ミスディオール”と“シルクの部屋”
フランスのビジュアルアーティスト、エヴァ・ジョスパン(Eva Jospin)とコラボレーションした、世界限定150個の“ミス ディオール パルファン”(200mL、167万2000円)を展示した空間は、インドの工房で熟練の職人と女性が手作業で施した刺しゅうで花々を描いた。ジョスパンとはマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が手掛ける「ディオール」の2021-22年秋冬コレクションでも協働している。中央の“ミス ディオール”のボトルのリボンからトランクのボックスまで、花々の繊細な刺しゅうに溢れている。
香りに包まれ、クチュールドレスの中へ
ムッシュ・ディオールのひらめきに迫る
続くエリア“クチュール ボウ”ではピンクのリボンに招かれ、ムッシュ・ディオールのインスピレーション源を探っていく。実は当初、“ミスディオール”は“コロール”という商品名だった。しかしより良い名前はないかと考えていたディオールの元を訪れた妹のカトリーヌが「ほら、ミスディオールよ」と声を掛けられたことがきっかけとなり、現在の名前が決まった。カトリーヌはレジスタンス運動家でありながら、兄のディオールと花への愛情を共有。兄妹は花に人生を捧げようと切り花の販売などのビジネスを始めた。会場にはカトリーヌのポートレートや麦わら帽子などを展示し、親密だった2人の関係性を紹介する。ハリウッド女優からモナコ公妃となったグレース・ケリー(Grace Kelly)や女優の京マチ子の写真、ディオールによるデッサン画なども展示する。
日本初公開のプレタポルテの“ミスディオール”
和紙の海に浮かぶドレスと限定フレグランス
クチュリエになる前にはギャラリーオーナーを務めていたムッシュ・ディオール。コンテンポラリーアーティストの作品を扱い、ジャン・コクトー(Jean Cocteau)やマックス・ジャコブ(Max Jacob)ら芸術家や詩人とも親交があった。ファブリックの上に和紙を重ね日本をイメージしたエリアには、オランダ人デザイナーのサビーヌ・マルセリス(Sabine Marcelis)やビジュアルアーティストの荒神明香、日本戦後第3世代の代表的なアーティスト、江上越の作品をクチュールドレスと共に展示する。
ディオールの愛犬ボビーとたわむれる
ムッシュ・ディオールはオートクチュールコレクションで毎回、デザインの1つに愛犬ボビーの名前を付けていた。1952年のクリスマスコレクションでは、愛犬ボビーへのオマージュとして限定ボトル“J'appar tiens a Miss Dior(ご主人さまはミス ディオール)”を発表。最後のホールにはボビーを模したボトルの大きなオブジェを設置した。
ブティックや「ピエール エルメ」コラボカフェも
イベント概要
■ミス ディオール展覧会 ある女性の物語
日程:6月16日〜7月15日
時間:10:00〜21:00(最終入場20:00)
場所:六本木ミュージアム
住所:東京都港区六本木 5-6-20
※事前予約制・⼊場無料