性別を問わず、美容医療への関心やニーズが高まっている。リクルート発行の「美容センサス 2023 年下期≪美容医療編≫」によれば、「美容医療を受けた理由」が変化している。女性は「時短美容」の順位が上昇。「美容内科・美容皮膚科」の利用率が 2021年以降伸びており、美肌、シワ・毛穴の治療など、顔の肌質改善に対するニーズの高さが読み取れる。一方、男性は「モテたい」が2022年の1位から9位にダウン。「医療脱毛」「美容内科・美容皮膚科」「美容外科」全ジャンルの利用率は過去5年で最も高いスコアとなった。では、実際にどのような施術が受けられているのか?今回は、都内で人気の5院に2024年2月に、患者数が最も多かった施術を聞いた。
1.「メットビューティークリニック(MET BEAUTY CLINIC)」
表参道のメットビューティークリニック(MET BEAUTY CLINIC)で人気の“マッサージピール+ジェネシスレーザー”は、肌に真皮層まで作用するピーリング剤をすり込みレーザーを照射することで、肌のハリや弾力アップ、毛穴の引き締め、シミ、くすみ、艶、乾燥、小ジワなど幅広い悩みの改善が期待できると人気だ。 植村奈美MET BEAUTY CLINIC美容部部長は、「ダウンタイムがなく、患者からは施術直後にハリ・艶を感じられるという感想が聞かれる。続けられる価格帯も人気の要因」と話す。今後、リフトアップやタイトニングに加えて、脂肪細胞破壊など顧客のニーズに合わせて施術を行える「インモード」が人気を集めると予測する。
2.「アループクリニック&ラボ(ALOOP CLINIC & LAB)」
ポーラ化成工業と研究提携した「アループクリニック&アンドラボ(ALOOP CLINIC & LAB)」。人気メニューは、肌分析をもとに一人ひとりにあわせて施術を提案する“ALOOP 肌分析プラン”。初回(1万6500円)は肌分析と6回分の施術プランニング+トライアル施術(全顔照射)で構成。トライアル施術は分析結果をもとに、ハイフシャワー、光治療、ピコトーニングの中から肌状態に合わせて提案する。プランニングで提案した施術は次回以降、1回あたり4万4000円(~オプション8万8000円)で受けることが可能だ。その中でも、ピコトーニングが最も多く出たという。
山﨑研志ALOOP CLINIC & LAB 院長は、「肌分析では、シミのスコアが低く出る顧客が多く、マイルドにシミ治療ができるピコトーニングを提案することが多い。ピコトーニングは『enLIGHTen® SR(エンライトン)』という機器を使ったレーザー治療だ。従来のシミ改善治療で使用されていたナノ(10億分の1)秒よりも、さらに短いピコ(1兆分の1)秒単位でレーザー照射が可能になった。ピコトーニングはシミ・そばかす・肝斑・くすみなど茶色い色素への効果が期待できる」とコメント、また、今後、注目の施術は、“マイクロニードルRF VIVACE(以下ビバーチェ)”(全顔9万9000円)。「毛穴に課題を抱えている顧客が多い傾向がある。一見、毛穴が関係ないような悩みでも毛穴が起因となっている場合が多くある。一例として、毛穴の広がりによって毛穴部分が影として見えてしまうこともあれば、毛穴の周りの炎症がくすみとして見えていることも。毛穴を引き締め、肌状態を整える“ビバーチェ”がオススメだ。“ビバーチェ”は36本のマイクロニードルの先からRF(高周波)を出して真皮層にアプローチする施術で、毛穴やシワ、ハリのなさに効果が期待できる」。
3.「光伸メディカルクリニック」
光伸メディカルクリニックでは、アゴ、フェイスランにヒアルロン酸を注入して、下顔面の輪郭を全体のバランスに合わせて整える施術“ヒアルロン酸注入/アゴ(形成 TOP 含む)&フェイスライン、2部位セット”(22万円)が支持された。
中村 光伸・光伸メディカルクリニック 院長・医学博士は「正面から見ると逆三角形の輪郭となり小顔効果、横から見たときはフェイスラインと首の境界が明確になり、もたつき感が目立たなくなる。美容医療に対するハードルは若者を中心に下がってきていて、全世代の患者からニーズが高まっている。考えられる理由として、一般的にアジア人は全体的にアゴの骨が小さく、アゴが後ろに引っ込んでいて鼻が強調されている人や、骨の端が内側に入っていたり、痩せているのに二重アゴになったりするなど、フェイスラインにもたつきを感じる場合が多い。骨格の足りない部分を補填し、形を整えるための一助としてヒアルロン酸注入を選ぶ人が多く、認知が少しずつ高まってきている」と話す。
今後、注目の施術は「小ジワに対する施術。これまでは、肌の表面・表皮層に働きかけをして、シワ・キメ・肌の凹凸を改善させていた。現在は、より根本的に、真皮層に6つのアミノ酸、ミネラル、ヒアルロン酸等がプラスされた製剤を注入してコラーゲンの増産をさせる美肌治療が注目されている」。
4.「東京美容クリニック 表参道本院」
東京美容クリニック 表参道本院の人気1位は、“ピコトーニング(全顔1回)”(1万6500円)と“エレクトロポレーション(美白・毛穴・ビタミンC)”(レーザー後追加オプション各5500円)となった。
山村菜実東京美容クリニック理事長によれば「ピコトーニングは、不動の人気1位だ。低出力のピコレーザーを顔に均一に照射することで、メラニン色素を徐々に分解する。シミ取り目的で来院した患者が、実は肝斑と診断されるケースが多い。シミ取りをする前に、ピコトーニングで肝斑を薄くしてから、シミ取りを行う方が効果的だ。肝斑の原因はさまざまで、刺激、摩擦、紫外線、精神的ストレス、ホルモンバランスの変化で肝斑が濃くなることもある。肝斑に悩む患者には、内服でトラネキサム酸を薦める場合もある」と話す。
東京美容クリニック 表参道本院では、ピコトーニングにキュテラ社の厚生労働省承認医療機器『enLIGHTen® SR(エンライトン)』を導入している。「ダウンタイムがなく、肝斑にも使える。施術を受けるボリューム層は30代だが、20代から60代まで幅広く人気で、ピコトーニングと合わせて、鎮静効果が期待できるエレクトロポレーションを組み合わせる患者が多い」と話す。
今後注目の施術は3つ。「まずは、“リジュランi”(1本、7万3000円)は、ハリ、弾力、厚み改善など、皮膚の自己再生力を活性化させてくれる。次に、糸リフトに似た成分でコラーゲン再生を促してくれる“ジュべルック”(11万円)。そして、“エクソソーム(幹細胞培養上清液)”(10万5000円)だ。幹細胞培養上清液は、エクソソーム治療で使用されるもので、成長因子のサイトカインやアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどの有効成分を豊富に含んでいる」と話す。
5.「アヴェニュークリニック」
アヴェニュークリニックでは、“レーザーブライトニング”(5万5000円※1カ月限定フリーパス/最大6回、30日間有効)が支持された。(※2院の合計施術数に基づく)メラニン色素に反応する「Qスイッチヤグレーザー」を使用し、炎症を起こさせない出力設定で肌に照射する。
人気の理由について、田中晶子アヴェニュー クリニック広報は次のように語る。「週に1回程のペースでレーザー照射を行い、肌の中に滞留しているシミやくすみの原因となるメラニン色素を少しずつ破壊。同時に、うぶ毛の脱色や細い毛は脱毛もできるので、透明感がアップ。30日間で集中的に繰り返し行うことで肌の明度が向上し、肝斑やADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の改善にも効果が期待できる、当院オリジナルのメニューだ。人気の理由として、1回の治療時間が5分程度と短く痛みやダウンタイムがないこと。そして、ヒアルロン酸注射やボトックス注射など他の治療と同時に施術できる気軽さが支持されている」。
今後の注目施術は、“ヒアルロン酸注入”で、「顔の影の総和が多いほど老け見えすると言われている。つまり、顔の影を少なくすることで、若々しい印象になる。これをかなえる“ヒアルロン酸注入”は引き続き人気だ。当院では複数のヒアルロン酸の中から患者の状態に合わせて最適な製剤を選択している。最近では、頬骨の裏などにヒアルロン酸を注入することで顔のバランスを整え、笑った時に頬の下に入る線を目立たなくさせ若々しく見せる治療がある。正式なメニュー名ではないのだが「童顔注射」と呼ばれるほど人気となっている」。