キリンホールディングスは6月14日、ファンケルの普通株式と本新株予約権を公開買い付けすると発表した。年内に全株式を取得し子会社化する。買収総額は約2200億円。キリンHDがうたう「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを実現するため、ファンケルの強みである化粧品関連事業、栄養補助食品関連事業と連携することで健康関連事業を強化する狙いだ。
両社は2019年に資本業務提携契約を締結し、キリンHDはファンケルの株式約33%を取得していた。以降、“食と医のキリン”と、“美と健康のファンケル”がタッグを組み、ファンケルのベストセラーサプリ“カロリミット”とキリンの飲料のコラボ商品などを発売してきた。今回の買収について南方健志キリンHD社長COOは「キリングループとファンケルグループは、共に社会課題の解決を軸に事業を行っている。健康課題の解決を通じて世の中に貢献するというビジョンを共有しており、お互いにとって未来に向けて成長戦略を実行するための最重要パートナーだ。本件が成立することで、両グループの強みがさらに生かされ、国内外のお客さまに新たな価値を提供することができると確信している。アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指し、グループ全体の成長を実現していきたい」とコメント。
一方、島田和幸ファンケル社長執行役員CEOも「19年の資本業務提携以降、商品開発、チャネル・インフラ、人材交流などさまざまな分野でシナジーを生み出してきた。この5年間で、両社の相互理解は深まり信頼関係はより強く確かなものになった。本件が成立することで、これまで制限されてきた両グループ間でのノウハウ・技術情報などの共有が可能となり、シナジー効果をより短期間で最大化できると考えている。これからもファンケルグループは、経営と全従業員が一丸となって、世の中の『不』の解消に取り組み、『美と健康』を一体化した形で、世界中のお客さまに喜びと幸せをお届けしていきたい」と述べた。
ファンケルの24年3月期連結決算は売上高が前年比7%増の1108億円、営業利益が同60.3%増の125億円、純利益が77.7%増の88億円だった。