主要百貨店の12月度販売は、ほぼ前年同月実績を維持した。しかし衣料品に関しては落ち込みが激しく、2ケタ減の店舗も続出。稼ぎ頭であるコートなど防寒衣料が記録的な暖冬の影響で売れ行きが鈍った。主力である衣料品の穴を、富裕層やインバウンド客がけん引する特選ブランドや宝飾・時計、引き続き好調が続く化粧品、クリスマスのケーキや正月のおせちが人気の食品が埋めた格好だ。
有力各社の12月度は、三越伊勢丹が前年同月比101.0%、高島屋が同100.3%、そごう・西武が同100.0%、大丸松坂屋百貨店が同100.3%、阪急阪神百貨店が同99.6%だった。高島屋は婦人服が約91%、紳士服が約90%で着地し、コートなどの防寒衣料に限れば約82〜83%に終わった。そごう・西武も衣料品が約90%。三越伊勢丹、大丸松坂屋百貨店、阪急阪神百貨店もコート、手袋、ロングブーツが低調なままだった。中間層の買い控えとは対照的に、インバウンドを含めた富裕層の活発な購買が目立った。特にクリスマス商戦の高級時計やバッグは2ケタの伸びを見せ、「100万円以上のバッグや時計の販売は1.4倍、1000万円以上になると3倍だった」(阪急うめだ本店)と話す店舗もある。
年内の衣料品の買い控えが、年明けの初売りやクリアランスセールでの購買にもつながっていない。初売りは売上高、客数ともに前年実績を上回る店舗が多いが、「トレンド変化の少ない定番的な防寒衣料は値下げをしても売れない」(そごう・西武)、「特選や化粧品のプロパー品の好調で、セールの衣料品の不振をカバーしている」(高島屋)など、年が明けても全国的に気温が下がらない中、衣料品は苦戦から抜け出せていない。