三越伊勢丹ホールディングスは、伊勢丹新宿店、三越銀座店など首都圏の8店舗の来年の初売り日を1月3日にする。これまで初売り日だった2日を店舗休業日にする。販売員の労働環境を改善し、モチベーションを高める狙いだ。北海道や東海、九州などの地域事業会社では、地域特性を考慮して今後検討する。首都圏の主要店舗でも三越日本橋本店は、地域特性などを勘案し、従来通り2日から営業する。
かつては毎週定休日を設けていた百貨店だが、1990年代半ば以降、年中無休のショッピングセンター(SC)の登場などの影響で、元日以外無休が当たり前になった。また閉店時刻も夜8時への後ろ倒しが浸透。百貨店の売上高がピークだった91年に比べて3割以上縮小した現在、逆に年間の総営業時間は3割増えたといわれてる。拘束時間が長くなった販売職は、雇用マーケットで敬遠され、結果として百貨店の強みであった販売サービスの低下を招いた。
悪循環に歯止めを掛けるため、三越伊勢丹ホールディングスは11年から元日以外の店舗休業日を再び導入。営業時間の拡大よりも販売サービスの強化が顧客満足につながるという手応えを得て、2日間の正月休みの導入を決めた。百貨店の販売職だけでなく、百貨店に販売職を派遣する取引先のアパレルや食品店からの要請も決断を後押しした。
一方で、小売業にとって初売りは年間を通じての大きな稼ぎ時であることに変わりない。セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武では13年からSCに対抗するために全26店舗で元日営業を始めている。バーゲンの開催時期と同様に、初売り日についても百貨店の戦略の違いが鮮明になってきた。