松屋銀座は、5階のメンズフロアで15年ぶりの大規模改装を実施し、9月4日に新装オープンする。2013年のウィメンズフロア、14年の食品フロアに続くリニューアルで、グレードとテイストの統一を図り、全館の回遊性を高める。6億円を投じて売り場全体の75%に相当する1880平方メートルを刷新。9ブランドを新規導入し、既存の22ブランドの店装を新たにする。改装後の初年度売上高は対前年比120%の55億円を計画する。
目玉は、スーツのオリジナルブランド「アトリエメイド」のショップ化。同店の名物バイヤーである宮崎俊一バイヤーが陣頭指揮を執り、商社などを通さずに海外生地を買い付け、質の高い工場や職人を確保することで、付加価値の高いスーツを提供する。ショップ化にあたり、パターンオーダー部門を強化し、ジャストフィットの着心地と美しさを訴求する。他にも、日本の革職人のモノ作りの技術を生かした財布や小物を集積し、オーダーメードにも対応する「レザークラフトマンワールド」を新設する。また、海外のファクトリーブランドを集積したセレクトショップも導入する。インバウンド需要を念頭にした旅行用品や日本のデザイナーズブランドの買い回りも強化する。
松屋は松屋銀座の13年以降の相次ぐ改装とインバウンドの急増によって業績が上向いており、16年2月期の売上高予想を910億円に上方修正している(当初予想は850億円)。ただ、同店のメンズフロアは銀座地区の百貨店で1位の売上高を誇っていたが、10年の銀座三越の増床、11年の阪急メンズ東京の開業によって3位に下がっていた。大規模改装によって集客力を高め、再浮上を狙う。