バーバリー(BURBERRY)の2016年3月期決算は売上高が前年比99%の25億1400万ポンド(約3921億8400万円)、営業利益が同91%の4億290万ポンド(約669億2400万円)、純利益が同92%の3億1400万ポンド(約489億8400万円)と減収減益だった。中国人が旅行先ではなく中国国内で買い物をするようになった他、香港やマカオ市場の低迷が減収を招いた。ヨーロッパでは観光客の減少とテロが売り上げに影響した。
カテゴリー別で見るとアクセサリーの売上高が同101%、ウィメンズウエアが同98%、メンズウエアが同98%、キッズウエアが同116%、ビューティが同109%だった。スカーフのカスタマイズサービス、スカーフバー(Scarf Bar)の導入や、16年春夏コレクションでデビューした新アイテムのリュックサックの売り上げが順調に伸びるなど、アクセサリーがいい動きを見せた。販売チャネル別の売上高は小売事業が同101%、卸売事業が同97%、ライセンス事業が同62%だった。ライセンス事業は三陽商会と契約していた「バーバリー・ブルーレーベル(BURBERRY BLUE LABEL)」と「バーバリー・ブラックレーベル(BURBERRY BLACK LABEL)」の契約期限が15年6月に切れたことが大きく影響した。その結果、日本からのライセンス収入は同45%の24億ポンド(約3744億円)と大幅に減った。
同社は15年11月に「バーバリー プロ—サム(BURBERRY PRORSUM)」「バーバリー ロンドン(BURBERRY LONDON)」「バーバリー ブリット(BURBERRY BRIT)」を1つのブランド、「バーバリー」に統合することを発表した。16年末までに全店舗およびオンラインでラインの統合を完了する。16年9月からウィメンズとメンズのショーを統合し、ショー発表の直後にコレクションを店舗やオンラインで買えるようにする。
デジタル面でもさまざまな施策を打った。16年春夏キャンペーンをスナップチャット(SNAPCHAT)で撮影し、配信した。日本では15年1月にライン(LINE)の公式アカウントを開設し、ショーの生配信を行った。中国ではウィーチャット(WECHAT)でメッセージサービスを行い、過去最高のエンゲージメント率を記録した。その結果、ソーシャルメディアのフォロワーが4000万人を突破した。
日本市場では15年6月に資生堂が「バーバリー」の化粧品と香水の輸入販売を始めた。9月に新宿に国内最大のフラッグシップストアを設けた他、百貨店に7店をオープンした。これにより小売りの売上高が倍増した。
16年はバッグのラインアップを簡素化する。また、公式サイトのリローンチやアプリの開発を始め、引き続きデジタル面に注力する。4月にローンチした新フレグランス"ミスター バーバリー(Mr. Burberry)"にも期待を寄せる。19年をめどに、イギリス・ヨークシャーに新しく生産と裁縫の工場をオープンする予定だ。この工場は生産に携わる全従業員を1棟の中に集約し、トレンチコートなどの生産効率とキャパシティーの向上が期待される。同工場には5000万ポンド(約78億円)を投資する。
同社は業績を受け、経営モデルのシンプル化やグローバルおよびローカル顧客への戦略の見直しなどを行い、18年までに年間1億ポンド(約156億円)のコスト削減を図ることで苦境を乗り切る考えだ。クリストファー・ベイリー(Christopher Bailey)=バーバリー チーフ・クリエイティブ・オフィサー兼最高経営責任者は「われわれは今後も多くのビジネスチャンスがあると予想する。売り上げを伸ばし、生産性の向上および組織の効率化が図れる戦略を立てている」とコメント。
SAMANTHA CONTI
訳 WWDジャパン編集部