アルビオンの2016年3月期決算は、売上高が前年比116.8%の593億2220万円、営業利益が同166.6%の147億8000万円、純利益が同158.4%の88億2000万円と増収増益で、過去最高を更新した。
部門別では、営業本部の売上高が496億8000万円だった。「達成率が118.7%、前年比では121.3%と大変良い実績を残すことができた」(水口理・営業本部 推販部 執行役員統括部長)。ブランド別は、「アルビオン」が同123.4%(売上構成比83.6%)、「イグニス」が同105.5%(同5.5%)、「エレガンス」が同115%(同10.9%)と全ブランドが前年を上回った。「アルビオン」はお客最優先の接客、美容活動を軸にした取り組みの中で、スキンケアの売り上げが同126. 6%、ベースメイクが同112. 6%と売り上げをけん引した。主力アイテムの売り上げは「薬用スキンコンディショナー」が同147. 9%、乳液が同126. 8 %、「エクラフチュール」が同120.8%と伸長した。
国際事業部の売上高は同97.9%だった。前年度で「ソニア リキエル」が休止となり、「ポール&ジョー」「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」「アナ スイ」の3ブランド体制となった中で、3ブランド対比では同108.1%と好調に推移した。ブランド別の売上高は「ポール & ジョー」が同125.3%、「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」が同132%、「アナ スイ」が同87.7%だった。「『アナ スイ』は一昨年から不採算店舗を閉鎖するなど改善に取り組んでいる。7月にはブランドのリニューアルを実施し、新生『アナ スイ』として訴求していく。また海外展開においては、『アルビオン』が好調だが、台湾や中国などでは店舗数を精査しながら、存在感をより強めていく」(小林勇介・国際事業本部 取締役本部長)。
販路別では、専門店が同110.1%、百貨店が同151.3%だった。専門店は88店舗が年商1億円を達成(前年度は68店舗)。6000万円以上が130店舗(同114店舗)、3000万円以上が295店舗(同283店舗)だった。また、専門店とタッグを組んだ新業態「アルビオン ドレッサー」は6 店舗を展開。「1号店のグランツリー武蔵小杉店は1年で黒字化。2号店の沖縄店は初年度で売上高1億円を突破するなど、全店舗が計画通りに推移している。雑貨の展開など課題点があるものの、専門店の新たな形として可能性を感じている」(水口執行役員統括部長)。
■5エリア制を敷き、専門店強化
過去最高の売り上げ、利益を更新したことに関し、小林章一・社長は「創業時からの『日本一、世界一の高級品メーカーを目指す』ことを実現するために、妥協しないもの作り、お客さま作りに徹していること」が実を結んでいると分析する。中でももの作りへのこだわりは強く、「肌への効果が最優先であるため、当社に原価の基準はない。常に新たな原料との出合いを求めて国内外を問わずにアンテナを巡らせている」。また、こうして生まれた商品を販売してくれる店舗との取り組みも重要視する。専門店では訪問活動をベースにした店舗との信頼関係を築いている。それを強固にするため、現場の声を聞き、具現化できる体制作りとして営業部を4月から5エリア制を敷き、各エリアで統括支店長を配置した。さらに、創業70周年の26 年に向け、専門店とアルビオンが工夫・改善を進め、双方が成長できる「EXプラン」を新たに掲げた。専門店にアルビオン専任担当者を配置するなどの取り組みを強め、26年には年商2億円以上を100店舗、1億円以上を200店舗、6000万円以上を300店舗、創出する計画だ。
創業60 周年を迎える16年度は、「エクシア」のアッパークラスのスキンケアライン「アンベアージュ」を販売したり、ブランド誕生30周年を迎える「エレガンス」で記念香水を展開したりするなどして、攻勢の手を緩めない。現在、専門店が4.4%、百貨店が28%のシェアを占めるインバウンド需要だが、16年度は前年比90%を見込み、全体の売上高は同100. 3%の595億円を目指す。