「廃墟のようなショッピングセンター(SC)」として話題になった滋賀県守山市のSC「ピエリ守山」が、12月17日リニューアルオープンする。15日には内覧会が行われ、「H&M」や「オールドネイビー」など有力テナントが入った様子が関係者に披露された。
同SCは2008年9月に滋賀県最大のSCとして開業。当時の運営会社はSCの証券化を計画していたが、リーマンショックが発生し、売買契約が破談になったため、開業してすぐに資金難に陥った。さらに、近隣に開業した「イオンモール草津」に客を奪われて苦戦が続き、有力テナントが相次いで撤退。11年には運営会社が経営破綻した。その後、三重県の企業に売却されたが、手当できずに200店あった店舗は今年2月の閉館直前には4店に減少していた。空きテナントだらけで営業を続ける「ピエリ守山」は、ネット上で"明るい廃墟"と呼ばれて全国的に話題になっていた。今年に入り、同SCを関西の不動産会社サムティが取得。同社の大川二郎・不動産事業部長は「琵琶湖湖畔のロケーションや建物の素晴らしさにポテンシャルがあると判断し、施設取得を決めた」と話す。
リニューアルでは、回遊性の改善のため入口を5カ所増設したほか、核テナントの強化とヤングファミリーへの訴求、体験型施設の導入を図っている。特に注目なのが、施設中央に集積した外資系ファストファッションの一大ゾーン。「H&M」「ザラ」は、2フロアの売り場をエスカレーターとエレベーターを設けたメゾネット型の店舗になっている。インディテックスグループは「ザラ」「ストラディバリウス」「ベルシュカ」の3ブランドを合わせると約3300平方メートルの広さを誇る。「ギャップ」と「オールドネイビー」も大型店舗を構え、同ゾーンだけでも広域からの集客が期待できそうだ。また、琵琶湖湖畔という立地条件を活かし、フットサルコート3面とアスレチック施設(来年4月開業予定)などアウトドアの体験型施設も併設する。
店舗面積約4万4000平方メートルに約140店舗を展開する計画だが、17日に開業するのはそのうち約100店舗。来春9店舗が順次開業するが、現在交渉中の区画もあるという。基本商圏は車で約20分圏内の6万6000世帯、16万6600万人を想定。初年度売上高は約150億円、来館客数は約650万人を見込んでいる。