ファッション

「コム デ ギャルソン・オム プリュス」はファッションで希望を照らす 光と闇をつなぐ鮮烈のピンク

コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS)」は、2025年春夏コレクションをパリで現地時間6月21日に発表した。

全身を白で統一して“祈り”を捧げた24-25年秋冬シーズンの2カ月後、ウィメンズの「コム デ ギャルソン」では“自分に対する怒り”をテーマに、黒を多用した。そして今回のショーでは、“祈り”と“闇”が同居するかのように、序盤は“白”と“黒”のモノトーンスタイルを貫く。黒のトレンチコートのアームホールやラペルにはヒダのような分厚いフリルをあしらい、白のチュールとシャツドレスをテーラードジャケットの下から覗かせる。張りのあるウールと艶のあるサテン地、メタリックに輝くジャケットは厳格で緊張感を漂わせ、気づけば黒が全身を覆っていた。

鮮烈のピンクが意味するもの

しかし、決して“闇”に呑み込まれたわけではない。白に代わり、鮮烈なホットピンクが黒と対峙する。ジャケットからはスカーフが飛び出し、ショーツをチュールのフリルで覆い、ジャケットにはトレンチコートをドッキングするなど、見慣れたはずのジャケットが奇抜な装飾によって新しい姿に変わる。

ホットピンクは無邪気で純真な愛を連想させ、“闇”の緊張感を解きほぐす。フェミニンな印象を与えるカラーが、メンズウエアのシンボルであるテーラリングと融合し、“闇”に対して“愛”で反抗しているようだった。「ナイキ(NIKE)」と協業した、“エア マックス 96(AIR MAX 96)”がベースのスニーカーもピンクに染まった。見る者を高揚させるホットピンクのルックから、白黒の可憐な花を描いたコートやメタリックなブロケード、マルチカラーへと徐々に色彩や素材感が豊かになり、ルールのない自由なスタイルへと無限に広がっていった。

リボンの装飾やティアード状にチュールを重ねたショーツによる、オールピンクのルックで高揚感が最高潮に達すると、再び白黒の世界へと回帰する。しかし序盤の黒とは異なり、ラインストーンやビーズ刺しゅうの装飾によって光を帯び、遊び心さえ感じる軽やかな黒へと様相を変えた。

希望の光を照らすスーツ

終盤は、内部構造と内側の装飾が透ける、黒のチュールで作ったテーラードジャケットとコートで締めくくった。赤と緑、ゴールドのクリスマスのような華やかな配色のドット柄は、チュールに覆われぼやけていても、確かに目視できる。視点次第で黒の見え方が変わること、そして“闇”を透かして見れば、その奥には希望の光が眠っていることを示しているようだ。闇と光は表裏一体。目をこすり、感覚を研ぎ澄ませ――「コム デ ギャルソン・オムプリュス」のスーツは、薄暗い世界の中でも希望を見出すように訴えかけてくる。

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