「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は6月22日、2025年春夏メンズ・コレクションを発表した。創業デザイナーのドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)が手掛ける最後のコレクションであることから、ショーの会場にはドリスと共に“アントワープ・シックス”として活躍したアン・ドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)やウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)をはじめ、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)「ヴァレンティノ(VALENTINO)」前クリエイティブ・ディレクターやハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)ら大勢のデザイナーや関係者が駆けつけた。ここでは、ドリスの退任を惜しみ、その功績をたたえるデザイナーの声を紹介する。
アン・ドゥムルメステール
「ドリスのことを、とても誇りに思う。学生時代から、彼はすでにファッションやビジネスについて深い知識を持つプロフェッショナルだった。人生は一度きり。(仕事を始めると)止まらない列車に乗っているようなものなので、ほかのことを自由にやりたければそこから飛び降りるしかない。(ドリスのように)自分のタイミングで退任を決めるのは、とても勇気がいる」。
ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク
「ドリスの現実的な考え方やそれに基づいた行動、正確で几帳面な性格に、仲間のみんなが影響を受けた。(“アントワープ・シックス”の)6人は互いに違う方向に進もうと切磋琢磨したし、そのシナジーは素晴らしかった」。
ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)
「私がアメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA、CFDA)の会長を務めていた頃、ドリスがインターナショナル・デザイナー賞を受賞した。当時は受賞者の記念動画を制作していたので、誰に撮影を依頼したいかを聞いたら、『あなたにお願いしたい』と。それで3日間を共に過ごし、とても仲良くなった。それ以来、ドリスは毎年欠かさず、クリスマスにチョコレートを贈ってくれるの。お互いイタリアに家があるから、これからはもっと頻繁に交流したい。人生を楽しまないとね」。
グレン・マーティンス(Glenn Martens)
「ドリスの優れた色彩感覚や鋭い審美眼はもはや達人の域で、その作品は詩的な魅力に満ちている。今後は美しい花々にあふれた自宅の庭の手入れをしながら、ゆっくり人生を楽しんでほしい」。
ハリス・リード(Harris Reed)
「ドリスは、ファッションで遊ぶことを知っている最後のデザイナーの1人だった。プレイフルで、テキスタイルや質感にとことんこだわり、圧倒的なコレクションを発表し続けた。(キャリアの最高潮で退任することを選んだ)彼を深く敬愛する」
トム・ブラウン(Thom Browne)
「こうしてみんながここに集まっているのは、素敵なことだと思う。(ドリスの功績を)祝し、互いを支え合うべきときだ」。
クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)
「ドリスは、デザイナーになりたいと思わせてくれたデザイナーの1人。(ドリスも卒業しているアントワープ王立芸術学院の)学生だった頃、『ドリス ヴァン ノッテン』の店の前を通りかかる度、これほど高いレベルにまで到達しないとならないのかと圧倒されつつ、よりよい自分であろうと奮起した。ドリスのコレクションやショーは唯一無二のもので、こうした独自の強い個性を持つデザイナーがいなくなってしまうのは寂しいが、彼自身の決断である以上それが正しいものだ」。
ニール・バレット(Neil Barrett)
「ドリスは、本当に素晴らしいデザイナーだ。一貫性があり、誠実で、その美しい作品の数々は誰からも愛された」。
また、ほかにはヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)「エルメス(HERMES)」メンズ・アーティスティック・ディレクターや、「ドリス ヴァン ノッテン」の親会社であるプーチ(PUIG)のマーク・プーチ(Marc Puig)会長兼最高経営責任者らも来場していた。