クールジャパン機構は、日本の地場産品の欧州展開支援事業として、パリで日本の工芸品やクラフト製品の販売・卸を行う日系企業、エニスに1億円を出資することを発表した。
エニスは、1998年からパリの日系企業に勤務し社長などを務めた、塩川嘉章・社長が2011年に設立。現在、パリ1区サンタンヌ通りで日本の地場産品を扱うショップ「ディスカバー ジャパン」(60平方メートル)と「メゾン ワ」(180平方メートル)の2店舗を手掛ける。過去4年間で50回、「有田の陶磁器」「奈良の麻」「福井の包丁」など、メード・イン・ジャパンとして一括しない、産地ごとにフォーカスした展示販売を行い、商材の歴史や技術、その地域の文化などを発信してきた。消費者やバイヤーに深く日本の地場産品を理解してもらい、継続的な販売や卸拡大を行ってきたこと、国内の地方自治体や関連団体などと多く協業してきた実績などが買われ、今回の出資に至った。
クールジャパン機構は、同事業により小規模な地場産品事業者でも、本格的かつ継続的に欧州市場に挑戦できる仕組みを作り、日本が誇る多彩な地場産品の輸出量拡大を目指す。欧州でビジネスを確立する事業者を今後5年間で新たに200社増やしたい意向だ。
今後は、「ディスカバー ジャパン」と「メゾン ワ」を日本の地場産品を訴求する常設のショールーム機能をもったショップとして活用。欧州進出に意欲的な事業者を支援し、商材プロモーションだけでなく、現地ニーズの検証や欧州小売事業者との交渉や商品アドバイス、通関や物流の対応など、欧州進出に必要な一連の業務を継続的に支援・代行する機能を強化する。
エニスの塩川社長は、「海外の消費者やバイヤーは、日本で作られたモノを一括りでメード・イン・ジャパンととらえているが、日本はフランスと比べ、はるかに地域によって異なる特性や強みがある。出資額よりも国にサポートしてもらうことで、さらに商材の信用度が増して、事業者の支援にもつながれば」とコメント。ファッション系では、過去に山梨の近藤ニットが手掛ける「エヴァムエヴァ」などの展示販売を実施。支援希望者は、クールジャパン機構の窓口で随時受け付けているという。