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アダストリアが売上高2000億円突破 V字回復を果たした4つの理由

 アダストリアは2016年2月期決算で、売上高が前期比108.4%の2000億3800万円、営業利益が同267.6%の160億400万円、純利益は約18倍の91億2200万円と増収大幅増益となった。これまで過去最高だった10年2月期の営業利益は169億円だったが、当期ののれん償却前利益は182億円で、実質的な過去最高益の更新となった。

 14年2月期まで4期連続で利益を落としていたアダストリアだが、「16年2月期にV字回復を果たした理由は大きく4つある」と同社は分析する。「1つ目に商品企画と製造機能、小売りを一体化して商品力の強化したこと、2つ目にブランド特性に合わせて自社生産と社外生産をメリハリを付けた仕入れの戦略を進めたこと、3つ目に営業体制を整え売価コントロールを行ったこと、4つ目にWEB事業が好調に推移し、EC売上高が上昇していること」だ。

 契機となったのは、10年のこと。それまでOEM・ODMによる商社からの仕入れ型によるバーチャルSPA(製造小売業)として、高速でトレンド商品などを集めて成長してきた同社だが、「あのままでは差別化ができなかった。『チェンジ宣言』をして、OEM・ODMのビジネスモデルを脱却し、自ら川中、川上を垂直統合したいと挑戦した」と福田三千男・代表取締役会長兼CEO。また、旧ポイントにはなかったライフスタイル提案を得意としてきたトリニティアーツや、企画生産機能を持つナチュラルナインを経営統合するなどして、体制を構築してきた。また、マルチブランド展開を継続しつつ、24ブランドあったブランドを17〜18ブランドにまで絞り込み、販売管理費や出店なども絞り、経営を効率化したことも、業績向上に寄与した。

 昨年4月に発表した中期経営計画「ACE18」で掲げた18年2月期の利益目標(売上高2100億円、営業利益148億円、営業利益率7.0%、EBITDA240億円、ROE13.8%)に対して、売上高以外を初年度で達成。時代の変化に合わせて3カ年計画を毎年見直す方針に変更した。新3カ年計画では、「マルチブランド戦略の深化と進化」をはじめ、「グローバルワーク」や「ニコアンド」などの「基幹ブランドの強化」、さらには、「ライフスタイルを提案する新カテゴリー・新規ブランド、新規事業の開発」「WEB事業の拡大」「最新テクノロジーの活用によるビジネスインフラの強化・効率化」の5つを基本戦略に掲げた。これらにより、19年2月期までに、既存事業で、売上高平均成長率5%以上、営業利益率10%以上、キャッシュフロー480億円、設備投資280億円、フリーキャッシュフロー200億円を数値目に再設定。新規事業などにも積極投資する考えだ。

 中でも、WEB事業については、16年2月期で売上高210億円、会員数440万人と、3年前の90億円・100万人から大幅に伸長している。19年2月期には売上高300億円以上、会員数600万人以上を目指す。

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