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特集 メンズ・コレクション2025年春夏

「アンダーカバー」高橋盾が服を通して描く対立のない世界  4年半ぶりにパリメンズでショー開催

アンダーカバー(UNDERCOVER)」は6月19日、パリ・メンズ・ファッション・ウイークでは4年半ぶりとなるショーを開催し、2025年春夏メンズ・コレクションを発表した。

会場は、2月末に行われた2024-25年秋冬ウィメンズ・コレクションのショーと同じ場所。しかし、窓から自然光が差し込む中で披露したウィメンズとは全く異なり、窓は完全に覆われ薄暗い空間が広がる。ショーは、高橋盾デザイナーがYouTubeで見つけたというオーストラリアの3ピースバンド、グラス ビームス(Glass Beams)が演奏する映像が映し出される中でスタート。インドにルーツを持つラジャン・シルヴァ(Rajan Silva)を中心とする同バンドが奏でる音色は、東洋と西洋が入り混じり、どこかエスニックなムードが漂う。それは、コレクションとも強くリンクしている。

イメージは、ボーダーレスな架空の民族

今季のイメージは、高橋デザイナーが「昔から好きなエスニック的なテイストをはじめ、さまざまな要素を取り込んでリミックスした」と話す架空の民族。その背景には、「日本人も含め民族のカテゴリーはいろいろあるけれど、それをボーダーレスにしたかった。世界では今さまざまな対立があるが、自分が描くファッションの世界の中ではそういったものをなくしていきたい」という思いもあったと明かす。

雲とポツンと佇む家が描かれた風合いのあるリネンのセットアップからスタートしたショーは、全体的に「着心地の良さを意識した」リラックス感のあるシルエットと素材使い、そして軽さや柔らかさが特徴になる。例えば、異なるレースをはぎあわせたパッチワークや、インドの織物をほうふつとさせる柄をのせたシアー素材は、ロマンチックで繊細な雰囲気を演出。イタリア人画家のロバート・ボシシオ(Robert Bosisio)によるぼやけた肖像画をのせたスポーティーなロング丈のパーカは軽やかに風をはらみ、ニットや「チャンピオン(CHAMPION)」とのコラボによるスエットシャツはドロップショルダーでエフォートレスに仕上げている。

また、ジャケットやシャツには、スリットを作ったり袖を取り外したりするためのファスナーや、色が不揃いのボタン、小さなタッセル飾りなどでアクセントをプラス。モデルたちはゴールドのヘッドピースやレースのアイマスク、デコラティブなビーズネックレスを身につけており、ウィメンズライクな要素を取り入れている。ラストは、高橋デザイナーによる架空の生物が雲の上へと昇っていくグラフィックをのせたジャケットとスカートのセットアップで締めくくり、どこかミステリアスでファンタジーを感じる「アンダーカバー」らしい世界観を表現した。

「ウィメンズ寄りのメンズを作りたかった」

同ブランドが最後にパリでメンズショーを行ったのは、2020年1月のこと。その後、新型コロナウイルスのパンデミックを経て、22年9月からはパリでウィメンズのショーを行ってきた。この間メンズはルックブックや展示会をベースに発表してきたが、今回パリメンズでのショーに復帰したきっかけについて、高橋デザイナーは「ウィメンズ寄りのメンズ・コレクションを作りたかった。今はもうメンズとウィメンズの境目はなくなってきているので、それならしばらくやっていないメンズで見せようと考えた」と説明。今後は、当面ウィメンズでのショーを行わずにメンズでのショーを継続する計画だという。

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