毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月24日号からの抜粋です)
本橋:年に2度のリアルトレンド特集は、百貨店や駅ビルに出店するブランドの新作トレンドが総覧できる内容です。近年はベーシック回帰の傾向が強く、2024年秋冬展示会を回っていても、服そのものに新味を見いだすのは難しかったのが正直なところでした。
五十君:そうですね。本当にベーシックなものが多いので、袖を何回まくるとか、レイヤードで着こなしに小技を効かせることがオシャレ度を上げる決め手になっている印象でした。表紙もミニスカートのウエストからのぞく網タイツなど、意外性のある小物を合わせていて、今シーズンを象徴していると感じました。
本橋:表紙は春夏号に続いて濱本愛弓さんにスタイリングをお願いしました。僕としてはブラウンの、大きめなレザーライダースジャケットが新鮮に映りました。レイヤードも多用していましたね。例えばジレは、秋はシャツの上、冬は軽めのコートの上に羽織るというように1枚差し込むだけで今年らしく仕上がりますし、気温に応じて着こなしを変え、長く着られます。
五十君:どこも暖冬に対して意識が向いていましたね。重いウールのロングコートではなく、カーディガンのようなジャケットやジレのバリエーションが目立ちました。私は「ジーユー(GU)」が打ち出すバレルレッグボトムスが気になりました。「カレンソロジー(CURENSOLOGY)」でもこの2年くらいカーヴィーデニムパンツが売れています。「ジーユー」がドーンとやることで、トレンドとして見えやすくなるのではないでしょうか。話は変わりますが、展示会に行くと、会場の雰囲気でそのブランドの勢いが分かりますよね。
「プランク プロジェクト」に勢いを感じた
本橋:そういう意味では「プランク プロジェクト(PRANK PROJECT)」は「お客さんが新しいものを求めているし、私たちはその一歩先を行こう」という勢いを感じました。暖冬ですが、8〜9月から防寒衣料を打ち出す計画で、「ファッションに気温は関係ない」という思い切りがいい。ファンがブランドに求めているものが見えているから強いんでしょう。ベーシックだけれど、どのアイテムにもブランドらしいひねりが効いていて、ステ品番ナシでした。
五十君:そういう勢いは「アメリ(AMERI)」でも毎回感じますし、「カレンソロジー」もベーシックながら“らしさ”があって、スタイリングや空間演出も含めてオシャレでした。“ベーシック”は作り手・売り手の提案力が問われますね。
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