ファッション

「ヨウジヤマモト」が来たる猛暑に向けて提案する、薄く軽やかなテーラリング

ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は6月20日、パリ・メンズ・ファッション・ウイークで2025年春夏メンズ・コレクションのショーを開催した。会場は、いつもと同じ2区にある自社ショールーム。汗がしたたり落ちるほどの熱気の中で、薄く軽やかな生地を生かした涼しげなコレクションを披露した。

リラックス感とエレガンスの共存

ファーストルックは、黒地に色とりどりの大きな花を描いたリラックス感のあるシアージャケットに黒のTシャツ、白地にグラフィックをのせたアシンメトリーなベストとクロップド丈のパンツ。その後も、ゆったりとしたシルエットと長めの丈感のジャケットやシャツに、クロップド丈のパンツやショートパンツを合わせたモノクロのスタイルが軸になる。

今季のキー素材は、薄さと軽さにこだわったシルクやレーヨンだ。その背景にあるのは、近年の猛暑。最近の夏の暑いから、薄く軽い服を作る────山本耀司デザイナーの出発点は極めてシンプルで、着る人に寄り添うものだった。ただし、透けるほど薄い生地を使い、リラックスした雰囲気に漂わせながらも、佇まいはエレガント。裏地のないジャケットのシルエットの美しさは、パターンと縫製の技術の賜物とも言えるだろう。

そんな軽やかなスタイルを彩るのは、山本デザイナーが描いたデッサンをはじめとするグラフィックや「YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE」など英語のフレーズ。そこに今季は、「諸行無常」など仏教からヒントを得たという日本語のフレーズも取り入れた。山本デザイナーは、ますます危険になりつつある世界情勢を踏まえ、仏教を勉強し直しているという。

また、ジャケットの段違いになった裾やハサミで切り込みを入れて内側を覗かせるカットアウト、ボタン開閉のスリット、ベストのアシンメトリーデザイン、シアーニットのホールなど、アンバランスなディテールもポイント。仕上げには「ヨウジヤマモト バイ リーフェ(YOHJI YAMAMOTO BY RIEFE)」のジュエリーを加え、ガンメタリックやシルバーの重量感あるデザインと繊細な素材のコントラストを描いた。

女性にも映える「ヨウジヤマモト」のメンズウエア

1月に行われた2024-25年秋冬メンズのショーでは、山本デザイナーと旧知の仲であるドイツ人映画監督のヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)や、アメリカ人俳優のノーマン・リーダス(Norman Reedus)がランウエイを歩いたことも記憶に新しい。そして今季は、長年親交のあるイギリス人女優のシャーロット・ランプリング(Charlotte Rampling)、そして現在パリ在住の杏が登場。山本デザイナーはこの2シーズン、メンズショーのモデルに女性も起用している。それは、「ヨウジヤマモト」のメンズウエアがジェンダーを問わず着られるものであり、ウィメンズコレクションともまた異なる魅力を放つことを示しているかのようだ。

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