アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。新型コロナ以降、経営破綻したブランドは増えている。「シュプリーム(SUPREME)」や「アトモス(ATMOS)」のように成熟しきったブランドに、さらなる伸び代を感じて買収する企業があれば、経営破綻したブランドをできるだけ安く買い、逆転を狙う企業もある。かつて一世を風靡したブランドでも、再建するには、今の時代に合わせたアプローチを強化し、綿密にリブランディングする必要があるだろう。相次ぐ買収劇について、本明さんと考える。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月10日号からの抜粋です)
――米ブランド管理会社のオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)が、ヘインズブランズから、「チャンピオン(CHAMPION)」を12億ドル(約1884億円)で買収する契約を締結しました。
本明秀文(以下、本明):ABG は「チャンピオン」のほかにも過去に、経営破綻した「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK))」や「フォーエバー21(FOREVER 21)」「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」、アディダス傘下で業績不振だった「リーボック(REEBOK)」などを次々に買収してきた。今回買収した「チャンピオン」も5年ぐらい前までは調子が良くて、「シュプリーム」とのコラボも人気があったのに、中国に出店拡大して、みるみるうちにオーバーストアに陥り、業績が低迷した。親会社のヘインズブランズも31億ドル(約4867億円)程度の負債を抱えているらしく、「チャンピオン」の売却益は負債の返済に充てると。ABGは事業が立ち行かなくなったブランドにフォーカスして、ポートフォリオの拡充を続けている。
――経営破綻したブランドだと安く買えて、やっぱり“お得”なんでしょうか?
本明:ブランドは1から立ち上げるよりリブランディングする方が3倍ラクだと言われている。ブランド名を浸透させるだけでも、本来はすごく時間がかかることだからね。僕にもアトモス時代に「1円でもいいから在庫ごと引き取ってほしい」というようなブランドの話がたくさん来ていた。売れずに再建を失敗するリスクもあるけど、ノウハウがあればうまくいく可能性は高い。
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