イタリアの工業デザイン賞「コンパッソ・ドーロ(COMPASSO D’ORO)」の授賞式が6月20日にミラノで開催され、日本からは「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」デザイナーの川久保玲や建築家の安藤忠雄が特別功労賞を受賞した。
「コンパッソ・ドーロ」は、イタリアの建築家兼家具デザイナーのジオ・ポンティ(Gio Ponti)が1954年に創設した、世界で最も権威あるデザイン賞の1つで、デザイン界の「アカデミー賞(ACADEMY AWARDS)」とも呼ばれる。「コンパッソ・ドーロ」の主催者は川久保の功績について、ファッションの領域をはるかに超えてデザインを変革したと称賛。「彼女は、特に西洋の服飾文化にユニークな問いかけを投げかけてきた。スタイルと伝統的に結びついてきた業界で、デザイン本質の解釈に貢献した」と述べた。川久保は1983〜93年頃、自身のブティックの什器として使用するため、金属や木材を使用した椅子やテーブル、衝立などをデザインしていた。芸術家のディディエ・クルボ(Didier Courbot)は2017年、パリやベルギーのギャラリーで川久保による家具15点を披露している。
今年の「コンパッソ・ドーロ」賞では、「フェラーリ(FERRARI)」のデザインチームを率いるフラビオ・マンツォーニ(Flavio Manzoni)らがデザインした同ブランド初の4ドアモデルや、イタリアの航空宇宙会社オプティマレス(OPTIMARES)が開発した航空機のシート、アイスランドの技師装具メーカー、オズール(OSSUR)による医療用モーター駆動の膝継手“パワーニー”など、意外な分野の製品が上位を占めた。なお、特別功労賞は、他にニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターであるパオラ・アントネッリ(Paola Antonelli)、イタリアの家具メーカーMDFイタリア(MDF ITALIA)のウンベルト・カッシーナ(Umberto Cassina)会長、建築家でデザイナーのピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni)、シチリアのワイナリーと高級リゾートホテルのオーナーであるフランチェスカ・プラネタ(Francesca Planeta)らが受賞した。