ファッション

オンワード樫山の「ネイヴ」、2度目の秋冬はスタイリング力で“本領発揮”

ウィメンズリアルトレンド市場ではベーシック回帰の流れが加速している。2024-25年秋冬は、シンプルなシャツやジャケットを主役にいかに着こなすか?が重要なシーズン。その中で白シャツやテーラードジャケット、デニムといった定番を今っぽく見せるセンスが光ったのが、オンワード樫山の「ネイヴ(NAVE)」だ。

「ネイヴ」は同社の「アンクレイヴ(UNCRAVE)」などに続くEC主軸ブランドとして昨春、ランウエイショーと共に大々的にデビュー。人気スタイリストの福田亜矢子、斉藤くみの2人がディレクターとして商品企画に携わっている。ただこれまでのコレクションは、商品も着こなしもコンサバから抜け出しきらず、良さを生かしきれていない印象を受けた。

この秋冬は、商品一点一点のシルエットや素材感がブラッシュアップ。トルソーの着こなし提案にもぐっと個性が出た。白シャツには透け感のあるトップスを重ね、オーガンジーのスカートでも華やかな印象を添えつつ、ブラックのパファーブルゾンで全体を引き締める。マニッシュなMA-1風のブルゾン(4万2900円)は、ボクシーなシルエットと襟元のファーディティール、ボトムスにはフリンジスカートを合わせ、トータルで女らしく見せた。

商品型数を4割減らし、
単品力とコーディネート提案に磨き

金刺悟司ブランド課長は、「今季は『ネイヴ』を買っていただくための理由を明確化できた」と手応えを話す。商品の型数は前年秋冬と比較して4割ほど縮小。その分、一点一点の商品の個性を磨き、コーディネート提案に力を割いた結果、ブランドらしさが出た。

業績は計画に対して堅調。自社EC「オンワード・クローゼット」では他ブランドと比較して20〜30代の若い層からの関心が高い。リアルでの接点はポップアップストアが中心で、常設出店の構想は今のところないという。

「コロナ明けからしばらく経ち、ネット専業ブランドの勢いは全体的に弱まっている。個性を強く打ち出さなければ、お客さまに選んでいただけない」と気を引き締める。「スタートしたばかりのブランドで、いい意味でファンの分母がまだ小さいからこそ、試行錯誤を重ねる。リアルの接点はポップアップストアなどに限られる分、インスタライブでの着回し紹介なども重要だ。発信するコンテンツも含めて、スタイリストの力をしっかり生かしていきたい」。

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