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特集 メンズ・コレクション2025年春夏

「ミハラ」の「お前が歌うんかい」などサプライズ連続 「ギャルソン」「ディオール」も 2025年春夏メンズコレ取材24時Vol.8

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2025年春夏コレクションサーキットが開幕しました。イタリア・フィレンツェからミラノ、パリまで続くメンズからスタートです。「WWDJAPAN」は現地で連日ほぼ丸一日取材をし、コレクションの情報はもちろん、現場のリアルな空気感をお伝えします。担当は、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリ、そして藪野淳・欧州通信員の“浪速トリオ”。愛をもって、さまざまなブランドをレビューします。

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10:00 「ジュンヤ ワタナベ マン」

パリメンズもいよいよ後半戦となりました。いつもパワフルな「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」のショーは、折り返し地点で気合を入れ直すのにぴったりなのです。今シーズンは“ドレスアップ デニム”をキーワードに掲げ、同ブランドが得意としてきたデニムとパッチワークをいかに新しく、エレガントに見せられるかのチャレンジでした。

ファーストルックは縦長のダブルブレストジャケットで、ブラックデニムやモノトーンのチェックをパッチワークし、パンツのシルエットはゆるめなイージーフィット。パリッとしたタキシードシャツにボウタイを合わせて、ワークウエアのデニムをフォーマルに引き上げます。続くピークドラペルのジャケットやショールカラーのタキシードジャケットも同様の手法で、パッチワーク・フォーマルをこれでもかというほど連打します。

ジャケットは素材使いでバリエーションを見せ、パンツのシルエットをクロップドやタイト、ルーズと多彩にすることでスタイルに幅を出しました。とはいえ“ドレスアップ デニム”は終始ストイックなまでに一貫しており、「ジュンヤ ワタナベ マン」といえばの物欲コラボレーションアイテムはいつもより少なめ。ショーでは「トリッカーズ(TRICKER'S)」とのコンビシューズや「ニューバランス(NEW BALANCE)」の薄底新モデル“UX 200”、「カクタス プラント フリー マーケット(CACTUS PLANT FLEA MARKET)」とのバッグとスカーフ、「インナーラウム(INNERRAUM)」とのトートバッグを披露しました。スコーピオンズ(Scorpions)やAC/DC、ブラックサバス(Black Sabbath)という往年のレジェンドロックバンドTとスカーフをドッキングしたパートで変化をつけながら、「ジュンヤ ワタナベ マン」流のフォーマルを提案しました。ただ実は「シーピー カンパニー(C.P. COMPANY)」や「カーハート(CARHARTT)」とのコラボアイテムも「アイ ジュンヤ ワタナベ マン(EYE JUNYA WATANABE MAN)」では用意しているんです。

ワンパターンに見えてもおかしくない手法なのに、そうならないのはアイテム単品の表情が豊かだからでしょうか。最近はシーズンごとにスタイルをガラリと変える「ジュンヤ ワタナベ マン」のショーには、共通してモードとクラフトの境界線をこじ開けるパワーがあります。

11:30 「ヘド メイナー」

イスラエル出身のデザイナーが手掛ける「ヘド メイナー(HED MAYNER)」は、世界情勢を理由に前シーズンのショーをキャンセルしました。浪速トリオの間で、“でか肩三兄弟”と密かに呼んでいる「ジュン.J(JUUN.J)」「ヘド メイナー」「エゴンラボ(EGONLAB.)」の、次男にあたります。今シーズンは、資金不足を理由に三男の「エゴンラボ」がショーを行わないため、2シーズン続いて三兄弟がそろうことはありませんでした。勝手に“でか肩決戦”を期待していたのに、残念。次回に持ち越しましょう。

「ヘド メイナー」の“でか肩”、つまり幅広で、ほんの少し傾斜した肩は、今シーズンも健在です。加えて、重厚でしっかりとしたボトムスのプロポーションも継続しつつ、テキスタイルで変化をつけました。イギリスのチェック柄やイタリア製のウール、軽量のリネンやポリエステルのヘリンボーンで構成した定番のテーラリングと、ワークウエアが中心です。イギリスとイタリアのスーツ生地を使用したジャケットのシリーズでは、襟とラペルをなくして体を包み込むようにし、スッキリとしたネックラインの逆三角形を描き、新しいプロポーションを探究します。「リーボック(REEBOK)」とのコラボレーションの最新版では、大きな赤いトラックスーツとブラックトップスニーカー、スポンジクッションを備えた“BB4000”で、スポーティーなアクセントを利かせました。真新しさはなくとも、上質なテキスタイルにより価格帯は若干上がりそうです。相変わらずの安定感で、1シーズンぶりに見た“でか肩”に「これでいいんだよ」と、どこか安心感さえ覚えました。

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