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徹底したマーケティングで立教大生の心をつかむ 【次世代美容師:「ラボヌールヘアーレーヴ 池袋店」志村大成スタイリスト】

PROFILE: 志村大成/「ラボヌールヘアーレーヴ(La Bonheur hair reve)池袋店」スタイリスト

志村大成/「ラボヌールヘアーレーヴ(La Bonheur hair reve)池袋店」スタイリスト
PROFILE: (しむら・たいせい)26歳、美容師歴7年目。都内数店舗を経て、「ラボヌールヘアーレーヴ」に入社。大学生の顧客からの圧倒的な支持を得ており、150~200万円という高い月間売上を保つ。PHOTO:YOHEI KICHIRAKU

SNSにより個人での集客が可能になった今、美容師の“セルフブランディング”の重要性が増している。さらに多様な働き方が可能になったり、得意分野を持つ“特化型美容師”が登場したりするなどの背景もあり、これまでの画一的なフレームを超える個性や特徴を備えた美容師が求められている。そうした“次世代型”の美容師にスポットを当てる当連載。第1回は、“大学生のマーケティング”に長けた「ラボヌールヘアーレーヴ(La Bonheur hair reve)池袋店」の志村大成スタイリストに話を聞いた。

WWD:美容師になったきっかけと、簡単な経歴は?

志村大成「ラボヌールヘアーレーヴ 池袋店」スタイリスト(以下、志村):人と関わる仕事がしたくて、最初は教師を考えていたのですが、“人の生活に関わることができる”という点に惹かれて美容師を選びました。美容学校を卒業してからは、都内の数店舗を経て当サロンに入社しました。周りのスタッフの人柄や、スタッフ教育がしっかりしている点が自分に合っていたので、この店に落ち着いた感じです。

WWD:顧客層は?

志村:お店が池袋の駅前にあるので、池袋に買い物に来る人や、埼玉方面在住の人が多い印象です。年齢的にいうと、私自身が26歳ということもあり、同年代かそれ以下の顧客が多いですね。特に、近くに立教大学があるので、立教大生(女性)がすごく多いです。

WWD:顧客の特徴は?

志村:東京・青山や表参道の美容室に通う人は、「このスタイルにしたい」「この美容師に切ってもらいたい」と明確に決まっているケースが多いと思うのですが、池袋はもう少しフランクですね。明確な仕上がりのイメージよりも、何となく“日々の生活の中に溶け込むおしゃれ”を求めるお客さまが多いです。例えば韓国スタイルにしたくて、韓国風のファッションに身を包んで来店する、といったお客さまは少ないですね。極端なデザインは、求められていない印象です。基本的にはナチュラルで、韓国好きのお客さまなら少し韓国テイストをプラスする、といったところでしょうか。そういう意味では、青山や表参道のサロンとは戦い方が違うと思います。

WWD:どういった戦略をとっている?

志村:今は立教大生の顧客が多いこともあり、アイドルヘアを打ち出しています。立教大生のお客さまには、ロング丈のワンピースを着て来店する人がすごく多いです。そんな“立教大生が見てかわいいと思うスタイル”を突き詰めていった結果、アイドルグループ「乃木坂48」の衣装にロングスカートが多いことに気付きました。そこで、彼女たちのヘアスタイルを提案してみたら、立教大生に“刺さった”んです。

WWD:“アイドルヘア”というと黒髪のイメージがあるが。

志村︰黒髪だと、僕からするとモードに寄ってしまいます。モード系だと、立教大生が好む王道とは違いますね。アイドルヘアの中でも、理想は(アイドルグループ「乃木坂48」を卒業した)白石麻衣さんのヘア。白石麻衣さん風のヘアをウイッグで作って投稿したらバズったくらい、白石さんが好みそうな“ミスコン風のヘア”(大学のミスキャンパスコンテストで多く見られるナチュラルで上品なヘア)はウケがいいです。

WWD:インスタグラムにも、“ミスコン風のヘア”の投稿が多い。

志村:そうですね。お客さまとモデルの写真を、半々くらいの割合で載せているのですが、モデルは全員、大学のミスコン出場者にお願いしています。今は韓国スタイルが人気なので、「#サロンモデル」で検索すると、少しイメージの異なるモデルがヒットしがちなんです。「#ミスコン」で検索すると、立教大生が憧れるモデルに出会えるケースが多いですね。お客さまに関しては、たとえヘアスタイルがばっちりキマッていても、パンツをはいていたら撮らせてもらわないですね。それくらい繊細に、“立教大生ウケ”のSNSを作り上げています。

WWD:ヘアカラーはどんな色がウケる?

志村:基本的にはワンカラーで、ベージュやブラウン系、くすませ過ぎないアッシュ系が通年で人気ですね。くすませ過ぎるとワンピースに似合わなくなるので、くすませ過ぎないことがポイントです。今年の夏から秋にかけては、少し明るめのトーンを提案していくつもりです。「イルミナカラー(ILLUMINA COLOR)」の“ムーンライト”のような、赤味を抑えたクール系のベージュが理想です。“ムーンライト”は単品使いで、立教大生が好みそうな、クールさを感じつつもまろやかに見えるベージュにできます。もう少しくすませたいときや、オリーブに寄せたいときなどには、差し色として“マリーン”や“ディープシー”と組み合わせると、イメージが変わるので使いやすい。今は毎日使っています。

WWD:“ムーンライト”と同じ「アーバンスカイコレクション」には“ナイトスカイ”もあるけれど、そちらはどう?

志村:“ナイトスカイ”は、しっかりとしたグレーにできるので、髪色を落ち着かせたいお客さまなどに使っています。また、例えばラベンダーグレージュのような、“〇〇グレージュ”が作りやすい。1本でグレージュが完成しているので、作りたい色を足していくだけでできてしまう。

WWD:ワンカラーが人気とのことだが、ブリーチはあまり使わない?

志村:ブリーチはさほど多くないですが、「アーバンスカイコレクション」の、ブリーチほど髪を傷ませずにトーンアップがかなう「ライトニングシステム」には助けられています。というのも、立教大生のお客さまには、初めてカラーリングする人も多いです。しかもカウンセリングをしてみると、1回のカラーでは対応できない仕上がりをイメージしていることも少なくない。これまでは、そうしたお客さまに「一度ではできないから、何度かカラーを繰り返して育てていきましょう」と提案していたけれど、「ライトニングシステム」だと初カラーでも透明感を出しやすいので、「今日できますよ」と言うことが可能です。立教大生が求めているカラーには、ブリーチほどのリフト力はいらないので、まさに“ドンピシャ”なアイテム。1日でできるため単価アップの提案が可能で、ブリーチよりも塗りやすいため時短につながり、客単価が上がりました。

WWD:そうしたヘアカラーデザインをSNSに投稿する際に気を付けていることは?

志村:ヘアカラーデザインに限ったことではないけれど、投稿時間には気をつかっています。朝に投稿しても大学生は見ないので、夕方、大学生が帰宅する17~18時くらいが狙い目ですね。あと、特定のヘアカラーデザインというよりも、雰囲気を推しているので、後姿は撮らないです。

WWD:今後やりたいことは?

志村:お客さまがしている、ネイルやメイクの繊細な違いに気付けるように、現在勉強中です。その中で今後はメイクもしたいと思うようになり、ゆくゆくは髪色に合わせてタッチアップをしてあげられたら、と思っています。また、現在は主要な顧客層が大学生ですが、自分の年齢とともに変わってくるものだと思っています。その変化に合わせて、提案も変えていける美容師になりたいですね。

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