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「シーイン」で買い物に罪悪感? 「WWDJAPAN」がZ世代の若者心理を解剖するセミナー

「WWDJAPAN」は2024年度、月に1回の頻度で計12のセミナーを実施している。これまで秋冬シーズンのトレンドや、ファッション&ビューティ業界の市場動向をテーマにしてきた中で、6月は“Z世代”にフォーカス。次なるビジネスチャンスを探る30代以上の大人にとって「現代の若者は何を考えているのか?」を知ることは重要だ。そこで「WWDJAPAN」はファッションやビューティに関心の高いZ世代を召集。彼らに消費行動からサステナビリティに対する意識までを直撃した。

リアルZ世代が登壇
「必ずしも“ファストファッション=悪”ではないのかも」

「Z世代ってどんな世代?」。そう聞かれてすぐに答えられる読者は少ないだろう。Z世代とは、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代であり、現在12〜29歳ごろまでの若者を指している。

「ファッション業界では、ミレニアル世代よりもZ世代の方が注目を浴びやすい」。セミナーは、「WWDJAPAN」の村上要編集長の言葉でスタートした。村上編集長はその理由を「Z世代は購買も社会とつながる一つの手段と捉えている」とし、「一方、買い物で失敗したくないという気持ちも強い」と特徴を話す。“失敗”とは、悪目立ちしてしまうファッション&メイクや、二次流通で価格が下落するアイテムを買うこと。だからこそ、パーソナルカラー診断や骨格診断を参考にする購買が増え、信頼できるラグジュアリーブランドが売り上げを伸ばし続けている。

また、Z世代がけん引する経済圏に対して、ビューティーブランドがどう対応しているのかを解説した。例えば、 “プレミアムシャンプー&コンディショナー”市場は平均1500円という高価格ながらも近年勢いを増している。過剰な効能説明を省き、パッケージを洗練させるほか、「ちゅるちゅる」「ツヤツヤ」などのエモーショナルな言葉を用いて、商品の情緒的価値をアピールする。

本セミナーの面白さの一つは、実際に都内在住のZ世代の若者5人が登壇し、生の声を聞かせてくれたこと。第二部では、彼らと村上編集長がディスカッションした。特にサステナビリティの問題については、村上編集長が「ぶっちゃけ、『シーイン』で買い物するってどう?」と切り込む場面も。青山学院大学のファッションサークルに所属する塚本香乃さんは「利用する」と罪悪感をにじませつつ、「下着や靴下などの消耗品は、使えるお金に制限がある学生だと、よほどでない限り高級品を買うのは難しい。同社の労働環境問題を知っているので、複雑な思いを抱いているが、利用せざるを得ない実情もある」と吐露した。一方、上智大学を卒業して現在は社会人として働く樋口栞那さんは「自分の周りには、口コミをしっかり見て、長く使うことを前提に買い物する友人もいる。必ずしも“ファストファッション=悪”ではないのかもしれない」と前向きに捉えた。

ウィゴーに学ぶ、Z世代の見つめ方

第三部のテーマは、「企業はどのようにZ世代と交流を深めているのか」。ウィゴーの増田達哉PR販促部編集チームマネージャーがゲスト出演し、同社を精力的に取材する木村和花記者がファシリテーターを務めた。増田マネージャーは、「ウィーラボ(WE LABO)[ヒト・コト・モノ・バ] 研究所」のリーダーであり、“界隈”と呼ばれる若者のマイクロトレンドを追う人物。「ダンサー界隈や地雷界隈など、“界隈”ごとに調査すると、人気スポットもバラバラだとわかる」と、“Z世代”と大きくグルーピングすることの危うさを示唆した。また、調査をもとに、特定の集団に刺さる新たなアパレルブランドやSNSアカウントを立ち上げているといい、それを受けた聴講者からは「どうやってZ世代とコミュニケーションをとるのか?」「“界隈”の規模の計測方法は?」のように次々と質問が寄せられた。

セミナー終了後は、聴講者と都内大学に通うファッションサークル所属の学生約40人によるミートアップを実施。ドリンク片手に、世代間の価値観の違いなどについて活発な意見交換がなされた。

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