出版取次最大手の日販グループ(以下、日販)の2016年3月期連結決算は、売上高が前年比96.8%の6398 億円、営業利益が同105.8%の27億3800万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同81.3%の8億5600万円だった。営業利益は過去10年間で2番目に悪い水準で、雑誌の売り上げ減少と輸配送環境の悪化が要因という。
商品別売上高では、書籍が前年比100.5%の2475億円、雑誌が同90.1%の2434億円と、初めて雑誌の売り上げが書籍を下回った。返品率も書籍が0.6ポイント減の30.7%だったのに対して雑誌が2.1ポイント増の40.9%と雑誌の返品率上昇が続いている。特に雑誌は店頭の売り上げが落ち込み、女性誌ファッション誌が前年比88.2%、ティーンズ誌が同92.3%だった。雑誌の休刊が相次ぎ、創刊91誌に対して休刊177誌になり、販売部数の減少が売り上げ減少に響いた。
全国約3200社の出版社と、約1万店の書店、約3万1000店のコンビニエンスストアをつなぐ日販だが、近年は事業の多角化を推進しており、雑貨などの高粗利益商材の商品開発・販売や不振店舗のリノベーション、店頭へのタブレット導入などに注力している。