PROFILE: 藤田貴明/瀧定名古屋 レディース25課 課長
商社において、「課長」はかなりの権限を持つ。一つの課で15億〜30億円以上の売り上げがあり、売り上げ予算の策定と執行の責任はもちろん、それを実現するための経費の決裁権やスタッフ(企画や生産管理)のキャスティング、チーム全体の管理まで、その役割はもはや中小企業の社長であり、そうした小さな会社(課)の集合体が商社とも言い換えられるのだ。繊維・ファッション産業を象徴するミクロコスモス、5人の「課長」の仕事に迫った。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月1日号からの抜粋です)
専門店アパレルでたたき込まれたビジネス勘が
東京のセレクト開拓で花開く
藤田貴明課長の率いるレディース25課は、藤田課長を含め営業7人、デザイナーやパタンナー、品質管理など総勢30人。主にセレクトショップや駅ビル系ブランドのOEM・ODMを手掛けている。今では30億〜40億円規模になっているが、現在の主力取引先の多くは藤田課長が切り開いてきたという。「入社以来、いわゆる専門店アパレルを担当してきたが、東京転勤を機に切り込み隊長のような形で新規販路の開拓を担当した」。そこで狙いを定めたのが当時勢いのあったセレクトショップの某企業だった。「当然、すでに有力な商社がガッチリ入っていて、入り込む余地がない。商談で『え?今日は製品の話なの?』と言われたこともしばしば」。1品番の受注を積み重ねながら、とにかくキーマンに食い下がり、3年目には取引を6、7億円にまで引き上げていった。
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