高島屋は16日、全日空商事、韓サムスングループのホテル新羅と空港型市中免税店事業の合弁会社を設立すると発表した。来春、高島屋新宿店11階に売り場面積約2800平方メートルの1号店を開く。さらに大阪での2号店も検討する。高島屋の商品調達および売り場編集力、全日空商事の保税管理のノウハウ、ホテル新羅が韓国やシンガポール、香港、マカオなどで培ってきた免税店の運営力と旅行代理店とのネットワークなど、各社の強みを生かしたビジネスモデルを構築する。
5月に設立される合弁会社(社名は未定)の出資比率は高島屋60%、全日空商事20%、ホテル新羅20%で、社長には高島屋の西村隆吾・営業推進部営業開発担当が就く。高島屋新宿店の1号店は現在、催し物会場などがある11階フロアの4分の3を占める規模になる。ラグジュアリー・ブランド、化粧品、時計、宝飾品、雑貨、家電、酒、たばこなどをそろえる予定だ。16日に会見した高島屋の木本茂・社長は「新宿店ではすでに96億円の免税売り上げがある。現状の免税売り上げとカニバリを起こすこともあるだろうが、それ以上の大きな効果をもたらす」と期待を寄せた。新宿駅ではこれまで分散していたバス乗り場が今春、再開発によって高島屋が隣接する新南口に統合される。「1日1000台のバスが乗り入れ、その中には海外のお客さまが利用するリムジンバスも含まれる。新宿は環境が劇的にプラスになる」と見る。1号店は初年度売上高150億円の目標を掲げる。
ホテル新羅は、韓国ではロッテグループに次ぐ免税店2位。強みは中国の旅行代理店との強いネットワークによる誘客ノウハウにある。木本社長は「免税店にはモノ(商品)の力だけでなく、海外からお客さまを呼び込む力が不可欠」とパートナーに選んだ理由を説明した。
空港型市中免税店は、消費税だけでなく物品にかかる関税や酒税、たばこ税などが免除になる免税店。購入時にパスポートと航空券の提示が必要であり、購入した商品は空港の出国手続き終了後にエリア内に設けられた引渡所で受け取ることができる。日本では日本空港ビルデング、三越伊勢丹ホールディングス、NAAリテイリングの合弁会社が三越銀座の8階1フロア(3300平方メートル)に「ジャパン デューティーフリー ギンザ」を1月に開いて話題になった。今月31日に開業する東急プラザ銀座にも韓国の「ロッテ免税店」が空港型市中免税店を開く。