良品計画の2016年2月期決算は、売上高が3071億円(前期比118.3%)、営業利益344億円(同144.4%)、経常利益327億円(同122.9%)、純利益が217億円の増収大幅増益だった。増収は13期連続、営業増益は5期連続。中期経営計画の売上高3000億円の目標を1年前倒しで達成した。海外事業の売上高は1090億円(同140.1%)で、昨年12月に840坪の大型店「無印良品 上海淮海」をオープンした中国を中心とした東アジア地域や北米、ヨーロッパで順調に売り上げが伸びた。ECの売上高は156億円(同118.1%)だった。
松﨑暁・良品計画社長は、「特に好調なカテゴリーはファニチャー、ヘルス&ビューティ、靴・バッグで、全て前期比120%以上の売れ行きだった。一部値上げをした商品もあったが、品質向上のための値上げであるということがお客さまにきちんと伝わり、増収増益になったのではないか」と語る。インバウンドに関しては、「われわれは世界に300以上の店舗を出店しており、それぞれの地域で売り上げを獲得できている。そのため、国内のインバウンドは売り上げに寄与するものではあるが、大きな販売手段としては考えていない。よく売れるのは、スキンケアやアロマディフューザー、撥水のスニーカー、オーガニックコットンのシャツ、そしてそれらを収納するキャリーケースだ。自国の店舗で買うより安いため、日常的に使っているものを買いに来るケースが多いようだ」とコメント。売り上げ全体に占めるインバウンドの割合は1.6〜1.7%だが、免税カウンターを設置している64店舗では9%強となっている。
店頭の集客強化にも注力する。松﨑社長は、客単価は上がっているが、客数が減少していることや、年4回のセール「良品週間」の時期に販売が顕著に増えることを挙げ、「今後は商品を理解してもらうことが重要。また、ウェブ注文の店頭受け取りや、スマートフォンアプリの『ムジパスポート』は店舗送客装置として今後もさらに強化したい」と語る。また、販売員の資格制度にも力を入れており、現在国内店舗で87人がインテリアアドバイザー、35人がスタイリングアドバイザーの社内資格を取得している。アドバイザー在籍店舗では、非在籍店舗に比べて売り上げがかなり伸びていると言い、今後は年間10人ずつを目安に増員を目指す。その他ではキオスク型などの小型店舗も今後注力する。「現在の売上高は35億円程度だが、100億円を目指す」。
なお同社は今年8月、インドの大手小売業リライアンス・ブランズ・リミテッドとの合弁でインド・ムンバイの「パラディウム」にインド初の店舗をオープンし、9月にはバンガロールの「VRモール」に2店舗目を開く。「インドは法や規則の縛りが多いため、自分がこれまで手掛けた海外事業の中で一番難しく、約2年かけて合弁に至った。年間1〜2店舗の出店を予定しており、3年以内の黒字化を目指す。インドは若い世代が多い国。将来のマーケットに期待したい」と松﨑社長。