ファッション素材の総合見本市「プルミエール・ヴィジョン(PV)」が7月2日、パリ郊外の「ノール・ヴィルパント見本市会場」で開幕した。40カ国からテキスタイルを中心に服飾資材、糸、レザー、プリント図案、縫製などの事業者920社が出展している。今回はパリ・オリンピック/パラリンピックの開催を目前に控え、混乱回避のために出展を取りやめた企業も多く、通常は見本市会場の3〜4ホールを使用していたPVだが、2ホールの使用にとどまった。
世界各国から有力な素材メーカーが2025−26年秋冬シーズン向けに製品を提案するPVは、回帰直前に行われるメンズ・ファッションウィークや9月開催のパリ・ファッションウィークと並ぶファッショントレンドの有力なイベントの一つ。PVは「卓越のミニマル」「インクルーシブな破天荒」「肉感的な表情の豊かさ」という3つのテーマと、グリーンをキーカラーにしたトレンドを発表した。
会場で目を引いたのは古着やビンテージ感覚やクラフトを現代感覚に合わせて取り入れたテキスタイルで、「クラシックな格子柄をビンテージ感覚で加工」(イタリア・プラートのリリア/Lyria)、「あまり強すぎないムラ染めで古着っぽさ」(スタイレム瀧定大阪)、「藍染めの絞りがヒットした」(瀧定名古屋)という。
またこの10年間、変わらないのが「デジタル/バーチャルとフィジカル/リアルの融合」。特に捺染とジャカードの分野では新しい機器の普及で、柄の生成が容易になり、複雑で抽象的な柄や、人間の身体サイズを超えるほどの大柄のジャカードやプリント柄のテキスタイルが増えた。「ジャカードやプリントの柄は大きく鮮やかに、が大きな流れ」(イタリア・コモのジャカードテキスタイル企業のカルロ・ポッジ/Carlo Pozzi)という。