ゴールドウインは、2029年3月期を最終年度とする5カ年の新中期経営計画を発表した。重点ポイントは2つ。渡辺貴生社長が「最優先課題」と語る、オリジナルブランド「ゴールドウイン(GOLDWIN)」のグローバルでの展開強化と、既に1000億円弱の規模に育った「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」(以下、TNF)の安定成長だ。これにより、29年3月期に売上高1885億円、営業利益360億円を目指す。
ゴールドウインはブランドホルダーである米VFコーポレーションとの契約で、「TNF」については日本・韓国の商標権を持つに限られている。グローバルで販売できるオリジナルブランドの育成が課題となっており、「われわれは今まで日本のローカルメジャー(な企業)だったが、今後は中国やアジアが経済成長していく。世界で“プレミアムスポーツブランド”を展開したい」と渡辺社長。その思いを託す先が「ゴールドウイン」だ。24年3月期に売上高32億円だった同ブランドで5年後に200億円、10年後に500億円を目指す。
500億円に向けて核となる地域は中国、日本、韓国で、それぞれ10年後に300億円、100億円、60億円という青写真を描く。10年後の目標店舗数は、フランチャイズを含めアジアで100店。そのために中韓では、現地企業と販売合弁会社も設立した(韓国は10月に設立)。
最大市場と期待する中国は今後年間4店のペースで一級都市中心に出店していく。21年に中国1号店を北京に出店しているが、24年中に成都、上海、杭州、南京にも出店。北京店は年間売上高2億円を超えて既にブランド最大となっており、「ECが強い中国市場にあっても、入店客の買い上げ率は60%、客単価は6万円と手応えを得ている。現地企業と組んでデジタルマーケティングを強化すると共に、接客サービスの向上による口コミなどでブランドの浸透を図る」(川田慎二 執行役員ゴールドウイン事業本部長)。
「ザ・ノース・フェイス」は
5年で305億円上乗せ
屋台骨である「TNF」は、初めてブランド単独の売上高を公表。直近10年間で約5倍の規模に伸ばし、24年3月期で975億円に達したという。「今後は(急激な拡販で)ブランド価値が毀損しないよう、年率5%の成長を目指す」(森光 取締役専務執行役員)。ここから5年間で売上高を305億円上乗せし、29年3月期で1280億円が目標。営業利益は足元から74億円上乗せする。
引き続き、ブランドの強みであるパフォーマンスカテゴリーで研究開発に注力すると共に、伸び代が大きいシューズや、ウィメンズ・キッズカテゴリーを重点ポイントとする。シューズは本国のVFコーポレーションの開発チームとも連動して、パフォーマンス性能を生かせるトレイルランニングシューズを強化。ウィメンズやキッズの拡販では、ブランドとして日本よりも売上高の大きい(注:24年3月期で1兆ウォン=約1000億円)韓国のパートナー企業のマーケティングノウハウを取り入れる。また、ライフスタイルカテゴリーでは、機能や素材の研究開発成果を搭載した一格上ライン“ラボ”シリーズを発売。“ラボ”シリーズの価格帯はジャケットで15万円前後(通常商品は10万円以下)のイメージ。