LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は7月2日、傘下ブランドであるジバンシィ(GIVENCHY)の新たな最高経営責任者(CEO)として、同じく傘下に持つルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のアレッサンドロ・ヴァレンティ(Alessandro Valenti)欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域社長を任命した。同日付で就任した同氏は、2020年4月からおよそ4年にわたってジバンシィを率いたルノー・ド・レスケン(Renaud de Lesquen)社長兼CEOの後任となる。
ヴァレンティ新CEOは、イタリア・ミラノのボッコーニ大学(Bocconi University)を卒業後、IT企業ブル(BULL)および小売チェーン、カルフール(CARREFOUR)のファイナンシャル・コントローラーとしてキャリアをスタート。ビジネス特化型SNS「リンクトイン(LinkedIn)」のプロフィールによれば、その後はジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)やヴェルサーチェ(VERSACE)で小売オペレーション関連の要職を歴任し、ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)で小売部門のシニア・バイス・プレジデントを3年近く務めた。14年にルイ・ヴィトンに入社。フランスとモナコのマネージング・ディレクターを務め、直近ではEMEA地域社長として同ブランドの成長に貢献している。
ド・レスケン前社長兼CEOは、1993年にロレアル(L'OREAL)傘下の「ランコム(LANCOME)」に入社。2001~04年には、同じくロレアルが擁する「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」の日本事業ジェネラル・マネジャーを務めた。その後、「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」のグローバル・プレジデントや、「イヴ・サンローラン・ボーテ(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)」のプレジデントなど、ロレアル傘下のブランドの要職を歴任した。12年にLVMHに入社し、同社が擁するディオール(DIOR)中国事業の社長を経て、ディオール アメリカズ社長兼CEOに就任。20年4月に、ジバンシィの社長兼CEOに就任した。同氏の今後の動きについては明らかにされていないが、LVMHの社内発表によれば、「新たな方向に進むことを決断した」という。
ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOのアドバイザーを務めるシドニー・トレダノ(Sidney Toledano)=ジバンシィ取締役会会長は、「アレッサンドロは25年以上にわたるグローバルな業界経験を持ち、そのうち10年以上は『ルイ・ヴィトン』で仕事をしている。ラグジュアリー業界や小売りに関する豊かな知識と、その優れたマネジメント手腕は、『ジバンシィ』のさらなる成長に貢献してくれるだろう。また、12年にLVMHに加わって以来、多大なる貢献をしてくれたルノーに深く感謝する」と語った。
次期クリエィティブ・ディレクターは?
「ジバンシィ」は、20年6月から23年12月末までブランドのクリエイティブ面を率いたマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)前クリエイティブ・ディレクターの後任を探しており、現在はデザインチームがコレクションを手掛けている。
情報筋によれば、後任候補として、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」クリエイティブ・ディレクターや、23年9月に「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」を離れたサラ・バートン(Sarah Burton)前クリエイティブ・ディレクターらの大物に加えて、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデムナ(Demna)=クリエイティブ・ディレクターの右腕であるマルティナ・ティーフェンターラー(Martina Tiefenthaler)ら“2番手”デザイナーのほか、「ジバンシィ」デザインチームの主力メンバーの名前が挙がっているという。