2009年から続く「WWDBEAUTY」のベストコスメ特集では、バイヤーのアンケートをもとに本当に売れた商品を表彰する。連載「ベスコス歴代名鑑」では、15年以上続く本特集の中でも常にランキングに入賞する“傑作”をピックアップ。時代を超えて愛される理由や商品の魅力について、美容ジャーナリストの加藤智一が深掘りする。今回は「ディオール(DIOR)」の“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”にフォーカス。
ほのかな刺激とバニラミントの香り、
ふっくらとした唇をかなえるトップセラーリップ
「その場にいた女性、全員のメイクポーチに入っていた」という口コミも珍しくない、トップセラーのケアリッププランパーが“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”だ。唇につけた途端にスーッとするカプサイシンのほのかな刺激や、甘すぎないバニラミントの香り、唇が瞬時にふっくらと整うボリュームアップ感など、既存リップグロスのメイク&ケア効果を遥かに超えるトリートメント体験が多くの女性を虜にしている。
誕生時の意外なストーリー
2007年に誕生して以来、今年で17年を迎えるが、発売当時は“コスメの殿堂”である伊勢丹新宿本店でさえ、たった6本しか入荷されなかったという。というのも、当時は唇に対して刺激を感じるリップアイテムが売れるかどうか見極めることが難しく、かつ、発売当初は現在のようなスターアイテムとしてではなく、シーズンコレクションの一部としてラインアップされていたから。加えて、当初はグローバルで発売されたわけではなく、グロス好きな日本・アジア限定品だったこともある。
そのような事情から、発売当初は「ディオール」のファンが購入するといったツウ好みのリップアイテムとして存在していた。そんな顧客に愛されながら人気を増していた“マキシマイザー”が一躍注目を集める一つのきっかけが19年の春にあった。17年に“ディオール アディクト リップ ティント”が、18年から19年にかけては“ディオール アディクト リップ グロウ”、そして“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”が矢継ぎ早にローンチ。アクセサリー感覚で持ち歩けるアイコニックなパッケージも相まって、それぞれがベストコスメ賞を席巻することに。中でも、シェードカラー“001”の透明感溢れるピンクが人気をけん引。単色使いはもちろん、ベースカラーや仕上げカラーとして合わせる口紅を選ばないという使い勝手の良さから、指名買いが続出した。
16年ぶりのリニューアルが大成功
また、巧みな話題化施策もロングセラーを後押し。シーズンやイベントごとに限定色を発売し、22年には“ディオール アディクト リップ マキシマイザー セラム”発売とともにディオール ビューティー アンバサダーの山下智久とのコミュニケーションが披露されると男性の利用者が急増。いまやメイクアップカテゴリーのリップグロスというより、老若男女の唇を彩るリップケアとして全国区の知名度を得ている。