サステナビリティ

榮倉奈々「ニューナウ」でお買い物、ケリングのピッチで胸熱、WWFで18歳から叱咤激励【向千鶴サステナDが行く】


向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載第2回は、榮倉奈々さん率いる「ニューナウ(NEWNOW)」の受注会、手に汗握る「ケリング・ジェネレーション・アワード」のピッチイベント、本音トークが炸裂したワンオー松井とのポッドキャスト収録、パンダでお馴染み環境保全団体のWWF(世界自然保護基金)ジャパンのセミナーなどをお届けします。サステナビリティは発展途上。とにかく人に会って、新しい考え方をインプットしてもらって、自分なりに咀嚼する毎日です。

旧知の仲に独立の意図を問われ、本音がもれる

新ポッドキャスト「イコーランド」にゲスト出演(6/5)


ワンオーがVAZと共同でポッドキャストチャンネル「イコーランド(equaland)」の配信を開始し、最初のゲストとして出演しました。ナビゲーターが旧知の仲である松井智則ワンオー代表(写真左)なだけに、気が緩みしゃべりまくり。Spor

実はわたくし、「WWDJAPAN」を発行するINFASパブリケーションズを7月末付けで退社し独立するのですが、24年間務めた会社なだけに話は当然「なぜ?」となるわけで、熱く語りました。ほかにも「なぜサステナビリティ・ディレクターを名乗ることにしたの?」など素朴な疑問を投げかけてもらい、思考が整理されて頭がスッキリ。普段は質問をする側なので新鮮です。こちらのポッドキャスト、1本目の配信は8月13日で、その後2週間に1本のペースで計5本アップの予定とのこと。ぜひSpotifyかYouTubeから聞いてください!なお私は8月1日以降も「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターを務めますので始めたばかりのこの連載ももちろん継続します。

進行役の菅野沙織さん(写真中)は、ビオティカ代表として数々のスキンケアブランドのプロディースを手掛けている方。彼女が作ったマルチボディオイル「セオリー ピニアル オイル」(写真2枚目)、おススメです。18種類の植物美容成分をブレンドしたそうで朝のメイク前に一滴手のひらに伸ばして顔を包み込むと至福です。

丁寧に商品の魅力を語る榮倉奈々さんに感化されて一着購入

「ニューナウ」2024-25年秋冬コレクション受注会(6/6)

俳優の榮倉奈々さん率いるアパレルブランド「ニューナウ(NEWNOW)」の2024-25年秋冬コレクションの受注会(完全予約制)は、熱気であふれていました。数台の試着室は常にフル回転。フレンズデーでは榮倉さん自身が接客に立ち、クリエイティブ・ビジョン・ディレクターを務めるスタイリストの上杉美雪さんや、クチュール・デザイナーを務める福屋千春「コート(COATE)」デザイナーとともに製品説明や着こなしアドバイスを熱心に行っています。

榮倉さんは、昨年12月に開催した「WWDJAPANサステナビリティ・サミット」にミューズとしてお迎えし、「ニューナウ」を展開するLAND NKのCEOとしてお話をうかがいました。家族への思いや環境問題、新しい服を生み出すことのへの葛藤、それゆえ受注生産型にした背景などを丁寧にお話しいただいたのですが、中でも私が印象的だったのは、「ニューナウ」の立ち上げ経緯の中で聞いた、「上杉さんや福屋さんのクリエイティブを守るのが私の役割」という言葉。これは、これまでの取材の中で、ビジネスが好調なブランドのCEOから聞いてきた言葉でもあります。アパレルは、ビジネスとクリエイションの両輪が対等に回って成功するもの。その素地を、創業間もない「ニューナウ」に見ました。

サステナビリティについは「奥が深く、また見る人の角度や立場によっても答えが変わってくる。ただ、小さくてもとにかく続けることが大切だと信じ、自分を鼓舞しています」と語っていた榮倉さん。今季は“ニュー スタンダード ナウ”をテーマに、メンズライクなトレンチコートなど長く着られそうな定番アイテムが充実していました。また、化学染料・漂白剤・柔軟剤不使用で、綿花本来の風合いがわかるカラードオーガニックコットンを使用した「アンダイド(UNDYED)」のカットソーや、ユーズド繊維廃棄物を100%使用した「ブリコ(BRICO)」とコラボしたポーチなどを用意。私はシルエットがきれいで着回しが利くパンツを購入しました。秋が楽しみです。

起業家たちの熱いピッチを聞き脳が覚醒させる

「ケリング・ジェネレーション・アワード」ピッチイベント(6/4)

「ケリング・ジェネレーション・アワード」のアドバイザリーボードを務めており、この日は、1回目のピッチイベントが、東京・虎ノ門のCIC Instituteで開かれ、新しい才能との出会いが楽しみ過ぎて、意気揚々と向かいました。

対象は日本のスタートアップ企業で、目的は「ラグジュアリー、ファッション、ビューティ分野における持続可能なイノベーションの加速」です。テーマにより2つのグループに分かれており、この日はグループA(代替原材料・素材&製造工程)で書類審査を通過した11組がピッチを行いました。リリースに「有望なスタートアップ・研究者」とありますが、まさにその通り。情熱を注いでいるプロジェクトをたった5分でまとめて初対面の人から理解を得るなんて、簡単じゃない。でも全参加者がそれをやってのけていました。全部聞き終わった後はスポーツ観戦後のような爽快感で、脳が刺激されまくりです。

参加したのはピッチ順で下記の人たちです。社名/スピーカー
#1 FiberCraze/長曽我部竣也 社長
#2アルガルバイオ/小田康太郎 事業開発グループ チームリーダー
#3ファーメンステーション/酒井里奈 代表取締役
#4 esa/黒川周子CEO
#5 KAPOK JAPAN/深井喜翔 代表取締役 CEO
#6 マイクロバイオファクトリー/清雅士 代表取締役
#7 ユナイテッドシルク/河合崇代 社長
#8 AMPHIBIO LTD/亀井潤 CEO
#9 金沢大学/高橋憲司 教授
#10 Synflux/川崎和也 代表取締役CEO
#11 aiESG/キーリー アレクサンダー 竜太 取締役兼チーフリサーチャー

スタートアップと聞くと、年齢が若い起業家を想像するかもしれませんが、ここはそうとも限らず50代の登壇者もいます。社会をより良くしたいと願い、アイデアを磨き、世に放つその行動は、熱量と実績とヴィジョンから構成されるもの。年齢じゃないのですよね経験は武器になりますが、出てくるアイデアがフレッシュでなければ受賞はできませんから平等です。結果発表まではしばしお待ちください。

18歳の言葉「労働環境が守られている服作りを心がけてほしい」が刺さる

WWFセミナー「持続可能な事業モデルへの転換に企業が果たすべき役割とは」(6/5)


パンダでおなじみ、そして「WWD」とは一時違いである「WWF」の正式名称は、「公益財団法人世界自然保護基金ジャパン」です。彼らは産業活動が生物多様性の保存と密接であることを各種のセミナーを通じて熱心に伝えています。(ちなみに、淡水の生き物の豊かさはこの50年で83%減だそう!)。

この日はずばり、「繊維・ファッション産業の持続可能な事業モデルへの転換に企業が果たすべき役割とは」をテーマに、特に日本国内のGOTS認証の導入事例についてセミナーを開きました。GOTSは「ゴッツ」と読みます。オーガニックコットンの話題が出たときに「ゴッツを取得している」という表現を聞いたことがあるかもしれません。Global Organic Textile Standardの略称で、その名の通り、オーガニック繊維の加工基準であり、繊維製品のバリューチェーン全体にわたり環境・人権・社会的要件を厳格に策定している非営利団体です。

セミナーではGOTS認証を導入した企業が「なぜ、どうやって」をシェア。中でも小規模事業者がグループで取得する認証スキームを活用した三恵メリヤスの三木健専務取締役の話は引き込まれました。世界に出てゆくためには、品質の良さだけでは不十分。それを知らしめる手段を持たねば、ですよね。認証はその一つで「やればできる」の一言です。

また、学生団体「やさしいせいふく」を運営する18歳の福代美乃里さんのまっすぐな情熱もまぶしかった。「自分がおしゃれを楽しむことが誰かの不幸につながっている、そんな服を着たくないから活動を始めた」と福代さん。文化祭などで使うクラスTシャツをGOTS認証を受けたオーガニックコットンで作り、その際にインドの綿農家や工場労働者とオンラインでつながりトレーサビリティをとったそう。Tシャツを販売する理由は同年代に伝えたい以上に、企業や大人へのメッセージであると福代さん。「ちゃんと労働環境が守られていて環境問題がおこっていない服作りを心がけてほしい」。その口調が優しいだけに、叱咤激励が大人たちの胸をえぐります。しかと受け止めました。

我らの特集と「トヨタ」の冊子が見事なシンクロ!

「サステナビリティ基礎&最新用語65」特集発売(5/27)

サステナビリティ界隈は交流会(=飲み会)が多いです。「サステナビリティ」を推進しようと奮闘する人たちが集まって熱く語り合う場、という意味での飲み会です。正解がない世界であり、価値を作ってゆく過程なのでオープンリソースの環境が欠かせません。課題や手の内を出し合い、意見し合い、刺激を与え&もらう、そんなフラットな関係が築きやすいし大切です。ある日の飲み会で、トヨタの方と知り合い、アップサイクの冊子を頂戴しびっくり! 5月27日に発売した「WWDJAPAN」のサステナビリティ特集の表紙とシンクロしています。

「TOYOTA UPCYCLE」は車のパーツを分解しならべた写真であるのに対して、「WWDJAPAN」は「ヘレン カーカム(HELEN KIRKUM)」 によるスニーカーをパーツに分解した写真です。いずれもゴミをゴミではなく資源としてとらるアップサイクルの考えを表現したもの。製品は異なってもパーツに分解してゆくと近いものがあるという点が とても興味深いです。

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