ファッション
連載 今週の学生に読んでほしい記事3選 第40回

日本人気が高まる「エル・エル・ビーン」の秘密、成長鈍化のナイキに向けられた眼差し

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この連載は週に一度、「WWDJAPAN Digital」に掲載した記事から学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介するものだ。今回は好調な「エル・エル・ビーン」日本企画、株価が急落したナイキの近況や、経営陣を刷新したダイドーリミテッドの狙いの3つの記事を掘り下げる。ニュースの読み方を知るとともに、面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。

【記事1】
「エル・エル・ビーン」の人気高まる
日本企画で10〜20代から支持

米メイン州で1912年に創業したアウトドアカジュアルブランド「エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)」は2024年秋、代表商品であるフィールドコートが100周年、コットンキャンバスのトートバッグ“ボート アンド トート”が80周年を迎える。23年春にスタートした日本市場向けのライセンス商品“ジャパンエディション”も好評で、「直営店には10〜20代の若い客が増えた」と日本支社の広報担当者。このところ、2次流通でも「エル・エル・ビーン」の人気は高まっており、今秋冬にかけてさらに盛り上がりそうだ。(全文はこちら)

【記者の解説】

アメリカ発のアウトドア&カジュアルブランド「エル・エル・ビーン」は、アラフォー世代以上にとっては懐かしく、同時に若い世代の間でも古着人気の一環で注目が高まっている。古着屋で昔の「エル・エル・ビーン」に運よく巡りあえたとしても、着丈やシルエット、着心地などが今の時代感とズレているというケースは少なくない(それが古着の楽しさでもあるのだが……)。そのギャップを埋めることを狙ったのが、2023年春にスタートした日本向け商品“ジャパンエディション”だ。伊藤忠商事が岐阜のアパレルメーカー、美濃屋と組んで企画・販売しており、1980〜90年代のアイコン商品の素材やシルエットバランスを現代的にアップデートしており、着実にファンを増やしている。(副編集長/五十君花実)

【記事2】
ナイキ、24年5月期は減収
24年度の見通しを下方修正し株価も急落

ナイキ(NIKE)の2024年5月期決算は、売上高が前期比0.3%増の513億6200万ドル(約8兆2692億円)、EBIT(利払前・税引前利益)は同5.6%増の65億3900万ドル(約1兆527億円)、純利益は同12.4%増の57億ドル(約9177億円)だった。ブランド別に見ると、「ナイキ」の売上高は同1.1%増の493億2200万ドル(約7兆9408億円)だった。中国を除くアジア太平洋地域と中南米で業績をやや伸ばしたものの、北米の不調と為替の影響により微増にとどまった。やはり北米と西欧が不調だった「コンバース(CONVERSE)」は、同14.2%減の20億8200万ドル(約3352億円)だった。
(全文はこちら)

【記者の解説】

スポーツ分野の首位に君臨するナイキの売上高は8兆円規模で、2位につけるアディダス(ADIDAS)の3.5兆円の倍以上。一流アスリートを起用したマーケティングなども上手く、ブランドの認知度やイメージもトップクラス。しかし、最大の市場である北米の景気悪化、世界的なスニーカーブームの落ち着き、画期的な新機能を盛り込んだ新製品を投入できずにいることなどが重なり、かつての勢いを失いつつある。記事中では業績が“アナリスト予想”を下回り、株価が急落したことに触れているが、この“予想”がなかなかの曲者だ。証券会社や投資銀行の専門家が企業の財務データや業界動向などを詳細に分析して出しているとはいえ、ナイキのような“圧倒的王者”は「もっとできるはず」と期待されて高めの数字になることも。それを上回るのは至難の業かもしれないが、王者の次の一手に期待したい。(井口恭子/編集部記者)

【記事2】
ダイドーリミテッド、新体制の背景
「ブルックスブラザーズ」などの再建狙う

「ニューヨーカー(NEWYORKER)」「ブルックスブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」などを運営するダイドーリミテッドの新体制が発足した。11期連続の営業赤字のダイドーに対し、アクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタルが経営陣の刷新を求めて応酬を繰り返す異例の事態を経て、6月27日の株主総会でダイドー側が推す取締役候補6人のうち5人、ストラテジック側が株主提案する取締役候補6人のうち3人の計8人が新しい取締役に選任された。激しい対立をノーサイドとし、一枚岩となった再建はできるのか。(全文はこちら)

【記者の解説】

主力事業「ニューヨーカー」「ブルックスブラザーズ」は、トラディショナルなスーツやコートが稼ぎ頭だったが、ビジネススタイルの変化に対応できず長期低迷が続く。若い世代を獲得できず、顧客も高齢化している。この克服が一丁目一番地になる。新経営陣には、IT業界での経験が豊富な成瀬功一郎氏(社長)、元オンワード樫山社長の大澤道雄氏(社外取締役)、元アダストリア取締役の久保木大世氏(同)など実務に通じた仕事人が多い。プロパーの社員と一枚岩となり、かつての輝きを取り戻すことが新経営陣の使命だ。(林芳樹/シニアエディター)

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