Appleは6月28日、同社初の3Dカメラ搭載デバイス“アップル ビジョン プロ(Apple Vision Pro)”を発売した。価格は59万8000円〜。デジタルコンテンツと現実空間のシームレスな融合を謳うデバイスは、イマーシブなデジタル体験を提供する一般的なVRゴーグルとは異なっている。一足早くデモを体験して考えた可能性と、識者の見解をまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月8日号からの抜粋です)
形状から考えると、“アップル ビジョン プロ”はAppleによるVRゴーグルと思われるかもしれない。もちろんVRゴーグルとしても使用でき、その体験さえ他社製品を上回る。しかし“アップル ビジョン プロ”が目指す役割は、こうしたデジタルコンテンツと現実世界をシームレスに繋ぎ、「空間コンピューティング」という概念を具現化させることだ。
空間コンピューティングは、ファッションやビューティ業界なら理解・応用しやすいだろう。例えばデモでは、原寸大のレーシングカーを現実空間に設置。その大きさを変えたり、反転させたり、タイヤやエアロパーツを着脱したりを体感した。“アップル ビジョン プロ”とアプリを介せば、複数人が同時に、別々の場所で、現実空間に“設置”したデジタルなレーシングカーのデザインや機能を確認し合えるという。デバイスの中ではなく、(3Dカメラ越しではあるものの)現実空間で大きさや形状などを確認できるのは面白い。数年前のことだが、今は亡きヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)によるグループチャットを見たことがある。チャットに画像を投稿することで洋服のデザインを話し合い、改善しては画像共有を繰り返すクリエイションだった。“アップル ビジョン プロ”はその利便性と精度を高めてくれるだろう。
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