「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」がニューヨーク現地時間の7月1日に、2024-25年秋冬コレクションをニューヨーク公共図書館で発表した。コレクションノートには今シーズンのテーマ「JOY, PERIOD.」の文字。「ファッションを通じて大胆で勇敢な自己表現や喜び、美しさを追求する」と続く。マーク・ジェイコブスが今回、渾身の41ルックを通して発信したのはファッションが生み出す純粋な喜びそのものだ。
フィリップ・グラス(Philip Glass)の旋律に合わせて公共図書館の長い回廊を歩いてくるモデルたちは、先シーズンのコレクション「ワンダー」にも登場したドール風のモデルたち。ファーストルックはマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)の白いスカートがふわりとめくれ上がる歴史的な映画のワンシーンを彷彿とさせる白いホルターネックドレス。続く数体も白一色で統一したルックだが、ボリューム感を強調したスカートやデフォルメされたショルダーやバストライン、ヘアメイクがモデルたちを着せ替え人形のように見せている。先シーズンに続き多用したキャンディーのようなビジュー飾りを、誇張したボリュームのミニスカートやAラインのコートにあしらった。
アクセサリー群はまるでおもちゃのよう。つま先を異様に強調したポインテッドトゥのパンプスや、ペーパードールからくり抜いたようなサンダル、巨大なバッグやブローチはルックにポップさを加える。シルエットを誇張したパステルカラーの軽やかなレースドレスやスパンコールドレスは見ているだけで楽しい気持ちになる。後半になるとミニーマウスのような大胆な水玉模様を使ったルックや、デフォルメされたバストが目を引く水着を着たバービー人形さながらのモデルが続く。大きなボタンをあしらったショート丈のジャケットにヘムラインを強調したスカートのシリーズは、大胆な色使いがクラシックでモデルたちの人形感を助長する。フィナーレの3ルックは、プリンセスを思わせるカラーコンビネーションと大きすぎるグローブやパターンが印象的でマーク・ジェイコブスのワンダーランドは先シーズンから続いていることを確信させた。
コレクションノートは「未来はまだ書かれていないが、私は愛を選び、恐れよりも信念を持ち、(中略)真の自己を生きることを信じている」という言葉で結んだ。未来はまだ描かれていないのかもしれないが、40周年という節目の一年を通して、ファッションが生み出す純粋な喜びをマーク流のワンダーランドの中で見せようとしてくれているに違いない。