伊藤忠商事・繊維カンパニーの2015年3月期連結決算は、純利益が320億円だった。同社は当期からIFRS基準を採用。同基準に置き換えると前期比133.6%の増益になる。増税に伴う国内アパレル関連事業会社の販売不振や欧米アパレル製造会社の低迷が重なったものの、エドウインが連結子会社に加わったため同106.5%の増収になった。当期はエドウインの他、米レッグウエア製造・販売大手のレンフログループへの出資、ベトナム国営繊維会社のビナテックスとの資本業務提携などの大型投資を行っている。既存の事業会社ではコンバースフットウェア、ジョイックスコーポレーション、コロネットなどが好調だった。
今期(16年3月期)は純利益330億円を計画する。伊藤忠とタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)が合わせて約1兆2000億円を出資する中国国有企業CITICグループとの事業を初年度から本格化させる。CITICを通じて資本提携を結んだ中国アウター大手の波司登(ボジデン)の販売網を活用し、伊藤忠が保有するブランドの中国販売に乗り出す。またCPやCITIC中国携帯電話最大手の中国移動などと組み、中国でのeコマース事業に参入する。4月に繊維カンパニーのプレジデントに就任した小関秀一・常務執行役員は「(コストの安い)ASEANの台頭によって中国でのモノ作りは相対的には減るだろう。中国は売る方への比重が高くなる」と見る。