百貨店の3月度販売は、消費税増税の駆け込みによって前年同月に比べて120〜130%台の大幅増収になった。特に宝飾・時計、ラグジュアリーブランドなどの高額品は駆け込みが殺到し、2〜3倍に跳ね上がった。大手5社の売上高は三越伊勢丹が124.2%、大丸松坂屋百貨店が136.0%、高島屋が132.1%、そごう・西武が122.0%、阪急阪神百貨店が126.5%だった。
高島屋は特選衣料・雑貨が169%、宝飾・時計が252%と高額品が跳ね上がり、全体をけん引した。婦人服は114%、紳士服は122%にとどまったが、婦人雑貨(化粧品、靴、バッグなど)は141%に達した。高額品に強い旗艦店の販売が急伸しており、日本橋店141%、横浜店135%、大阪店133%だった。大丸松坂屋百貨店も宝飾・時計が約3倍、特選衣料・雑貨が約7割増だった。店舗別では優良顧客を抱える松坂屋名古屋店が157%と抜きんでた数字を叩き出した。そごう・西武も「日常で使えて資産価値もある」(同社)高額品が良く売れ、時計が倍増、宝飾品も7割増になった。旗艦店の西武池袋本店は124%、そごう横浜店は131%だった。三越伊勢丹は全店が2ケタ増。昨年3月にリモデルした伊勢丹新宿店が123%だったほか、三越日本橋本店が130%、三越銀座136%だった。
1997年の消費税増税時も百貨店は3月の販売が急伸する一方、4月は85%前後に落ち込み、その後も反動に苦しんだ。各社は「(金融危機などで)景気が極端に悪化していた当時ほど悪い状況にはならない」と口を揃えるものの、反動の対策に乗り出す。高島屋は3月12〜25日まで5000円以上の買い物をした消費者に4月の1ヵ月間だけ使える1000円クーポン(1万円以上の買い物で使用可)を配布した。大丸松坂屋も4月4〜6日までメール会員を対象に各店で先着3万人に500円クーポン(5400円以上の買い物で使用可)を配る。一部では春物セールの前倒しも計画されている。