アダストリアの2015年3〜8月期連結決算は、売上高が前年同期比110.2%の970億3200万円、本業のもうけを表す営業利益が約4倍の81億3200万円で、6期ぶりに過去最高益を更新した。経常利益も約4倍の83億2400万円、純利益は約38倍の41億5600万円だった。自社企画生産機能を担うナチュラルナイン部隊をアダストリアと合併させ、企画、生産から店頭の販売までの連動を強化したことや、作り込み型とQR(クイックレスポンス)型などブランド特性ごとに商品調達のバランスを変えたことなどにより、商品力や在庫コントロール力などが向上し、売り上げが伸びたことが主要因だ。粗利益率は1.0ポイント改善して57.3%。販管費率は「ニコアンド」や「スタディオクリップ」の基幹ブランドの認知度は上がったと判断してテレビCMを大幅縮小したことなどによる広告宣伝費削減や、出店を抑制したことなどによる人件費や設備費の縮小などにより、同5.0ポイントの大幅改善をし、48.9%に抑制されたことも大きく寄与した。ブランド別では「ジーナシス」(同118.7%)や「グローバルワーク」(同115.9%)、「ニコアンド」(同113.2%)などの伸びが高かった。
上期の好調な業績を受け、下期および通期の業績を上方修正しており、2016年2月期予想は売上高が1980億円(従来予想に比べて82億円増)、営業利益が140億円(同70億円)、当期純利益が68億円(同44億円)としている。
福田三千男・代表取締役会長兼CEOは2010年から取り組んできたSPAへの転換や、モノ作り体制の改革に続き、「今期は営業推進本部を作り、各部とのコミュニケーションに務め、生産、物流、店舗開発まで組織横断型で課題解決に当たる部署として大きな成果を上げてきた」と話す。さらに、モノ作りでは「バリューチェーンでさまざまな問題解決を図るとともに、各ブランドごとの硬直的な予算管理から、弾力的で環境変化に柔軟に対応する能力を発揮するなど、管理・運営能力を向上させた」と続ける。肝心のモノ作りでも、バリューチェーンを生かした「素材で差別化した商品、計画生産でコストを抑えた商品」が好調で、「価格競争でロスをしない」ことに加え、「店頭スタッフが自信を持ってお客さまに進められる商品が次々に生まれてくるようになったことが、大きく業績が上がってきた要因だ」と説明する。
自社ECサイト「ドットエスティ [.st]」や「ゾゾタウン」での販売も好調で、ウェブ売上高は同144.3%と引き続き好調に推移。売上高構成比は10.3%にまで高まっている。投資についてはかなり抑制してきたが、情報システムを始めとしたテクノロジー関連や、店舗の出店・改装、新業態の開発など、今後の成長に向けて積極化を図る考え。