三越伊勢丹ホールディングスは17日、他の百貨店から約3週間遅れでクリアランスセールを開始した。旗艦店である伊勢丹新宿店では長蛇の列ができたため、予定より15分早めて午前10時15分にオープンした。並んでいた人が入り切った10時30分時点で約7000人(同社発表)が入店した。
同社がバーゲンセール開始を後ろ倒しにするのは昨年夏、今年冬に続き3回目。季節物の需要最盛期にバーゲンを始める商習慣は、小売りにもアパレルにも消耗戦を強いる。その分がプロパー価格に上乗せされたり、季節物が欲しい時に在庫が手薄になったりするなど、消費者の不利益につながる。それらの是正するのがセール後ろ倒しの狙いだ。昨年夏は他の百貨店から約2週間遅れの7月13日開始だった。今年は約3週間遅れだった上に、「海の日」の三連休の後に設定した。そのため値ごろ感のあるオリジナル商品群「MIQ」を前年比1.5〜2倍に拡充するなどの施策で、客離れを食い止めようとした。結果、6月から正価品の販売が好調で予算を上回るペースで推移しているという。
17日、伊勢丹新宿店の売り場で客を出迎えた大西洋・社長は「(後ろ倒しを)重ねるごとに、我々が目指すことをお客さまにもご理解いただけるようになってきた」と手応えを強調した。今後についても、まだ決定していないとしながらも「(夏は)8月にしたい。段階的に後ろにずらす。理想形はセールが無くてもお客さまに満足できるようにすること」と話す。