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日本や欧州の「ユニクロ」好調、ファストリが24年8月期の営業利益予想を4750億円に上方修正

ファーストリテイリングは7月11日、2024年8月期通期の業績を上方修正し、売上高にあたる売上収益で400億円、事業利益で150億円、営業利益で250億円を引き上げ、通期予想は売上収益3兆700億円(前期比11.0%増)、営業利益4750億円(同24.6%増)、純利益が3650億円(同23.2%増)を計画する。いずれも過去最高になる。欧州を筆頭に、北米、東南アジア、そして国内のユニクロ事業が好調で、すでに発表されている6月の既存店売上高(前年同月比14.9%増)などの業績を反映するとともに、想定よりも円安が進んでいるため為替レートを足元の実体に合わせた。

2024年8月期第3四半期(23年9月~24年5月、国際会計基準)は、売上収益が2兆3665億円(前年同期比10.4%増)、営業利益が4018億円億円(同21.5%増)と2ケタ増収増益だった。

売上収益が2229億円増えた内訳は、海外ユニクロ事業が1952億円増の1兆2928億円(同17.8%増)、国内ユニクロ事業が123億円増で7220億円(同1.7%増)、ジーユーが184億円増の2464億円(同8.1%増)、「セオリー」「コントワー・デ・コトニエ」などのグローバルブランド事業は26億円減の1037億円(同2.5%減)だった。
 
岡﨑健ファーストリテイリング取締役CFOは、「北米、欧州、東南アジア、日本のユニクロ事業が大幅な増収増益と業績をけん引した。グローバルで『LifeWear』を体現できる店舗を続々と出店してきたことで、各国でのユニクロの知名度が向上し、業績拡大の良い循環が生まれている」と説明。グレーターチャイナ(中国本土、香港、台湾)に関しては、コロナ禍明けで前年同期比50%増と大きく伸びた前年の反動減など「前年の高いハードルや、消費意欲の低下、天候不順といった外部要因や、地域のお客さまのニーズに合った商品構成が不十分で販売に苦戦した。再び高い成長に向けて、チェーンストア経営を超えた個店経営へ変革を推進する」と述べた。

ユニクロ中国の潘寧CEOが登場「中国大陸でも個店経営・全員経営へ変革 28年に売上収益1兆円、将来3兆円・3000店舗を目指す」

11日の会見には、ファーストリテイリング グループ上席執行役員でユニクログレーターチャイナの潘寧(パン・ニン)CEOも登壇。「中国大陸はグループの成長の柱。現在の市場シェアはわずか2%。成長ポテンシャルは大きい。これまでチェーンストア展開で効率経営してきたが、個店経営への改革を推進し、新たな成長ステージに押し上げる」として、「出店戦略の転換」「店舗とEコマースのさらなる融合」「地域特性に合った商品構成の強化」「経営人材の育成と創出」の4つの柱からなる中国大陸での変革プランを説明した。

特にショッピングモール間の競争で集客力や売上げに大きな格差が出ている状況を修正するため、移設や売り場面積拡大などスクラップ&ビルドを強化する。今後も80店舗を目標に、毎年50店舗を出店する。ライブコマースも強化し、リアル店舗とECをともに直営展開している自社の強みをさらに磨いていく。

潘CEOは「2028年8月期に売上収益1兆円を達成し、次に売上収益3兆円を目指す。将来的には店舗網を3000店舗に広げる。個店経営・全員経営を実践し、グレーターチャイナで最も必要とされるブランドになる」と決意を語った。なお、2023年8月期のグレーターチャイナの売上収益は6202億円(前期比15.2%増)、営業利益1043億円(同25.0%増)だった。

国内ユニクロも大幅増収増益、実需とマーケティングの打ち出しがマッチ

話題性の創出が課題となっていた国内ユニクロは、実需とマーケティングの打ち出しがマッチしたことで夏物コア商品の販売が好調で、第3四半期(24年3~5月)の3ヵ月の売上収益が2369億円(同10.4%増)と2ケタ増収となった。既存店の客数は0.2%増、客単価は8.9%増だった。気温が高く推移し、キャンペーンで打ち出したTシャツ、ブラトップ、ウルトラストレッチ素材のボトムスの販売が好調。ゴールデンウィーク商戦や40周年感謝祭が大盛況となった。

インバウンドの恩恵も受けた。全体の売上高に占める免税売上げ比率は2倍に上昇し、7~8%へと構成比も高まっている。「世界中でユニクロの知名度が高まっていることで、国内ユニクロ事業の業績拡大にもつながっている」と岡﨑CFO。第3四半期のEC売上高は345億円(同12.1%)。

国内ユニクロの営業収益は9カ月累計で1278億円(同28.3%増)、第3四半期3カ月累計で505億円(同56.9%増)と大幅増益となった。「在庫処分のための値引き販売が減少したことで値引き率が改善。粗利益率は54.5%と4.1ポイント改善した。販売管理費比率は33.3%で2.1ポイント改善。増収になったことで、人件費率、賃借料比率、広告宣伝費率が低下。賃上げも行ったが、人件費は「在庫水準の適正化や、店舗作業のデジタル化、効率化により、一人当たりの売上高も上昇し、生産性が改善した」という。

ジーユー事業も9カ月決算で売上収益2464億円(同8.1%増)、営業利益294億円(同14.2%増)となった。「グローバルのマストレンドを取り入れた商品の販売が好調で、海外展開に向けてチャンスの芽が見えた。一方で、販売を押し上げるチャンスがあった商品の数量を十分に準備できず、売上げを伸ばしきれなかった課題がある」と岡﨑CFO。「今後は、完成度の高いマストレンド商品の開発をグローバルで強化し、これらの商品の在庫を戦略的に準備し、シーズンの立ち上がりから売り込むことで売上げの最大化を目指す」。EC売上高も伸び、売上高構成比は約12%となった。

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