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英ブランド「マルベリー」のCEOが退任 後任は「ガニー」の前CEO

英国ブランド「マルベリー(MULBERRY)」を運営するマルベリー・グループ(MULBERRY GROUP以下、マルベリー)は、ティエリー・アンドレッタ(Thierry Andretta)最高経営責任者(CEO)の退任を発表した。後任には、アンドレア・バルドー(Andrea Baldo)=ガニー(GANNI)前CEOが9月1日付で就任する。

バルドー新CEOは、メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)やディーゼル(DIESEL)でキャリアを積んだ後、2013年から16年まではマルニ(MARNI)の、16年から18年まではコチネレ(COCCINELLE)の要職を務めた。18年にデンマークのブランド、ガニーのCEOに就任。グローバルな販売網の強化や商品開発の推進によって事業拡大をけん引し、24年4月に退任した。

アンドレッタ前CEOは、ラグジュアリー業界で豊富な経験を持っており、ランバン(LANVIN)、モスキーノ(MOSCHINO)、ケリング(KERING)、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)、ブチェラッティ(BUCCELLATI)などで要職を歴任した。14年にマルベリーの社外取締役となり、15年にCEOに就任。デジタルやオムニチャネルを強化し、商品価格を国内外で統一するグローバルプライシングを導入したほか、リペアやリセールなどサステナビリティに関する取り組みも積極的に行った。

クリス・ロバーツ(Chris Roberts)=マルベリー会長は、「アンドレアは国際的なファッションブランドでの豊富な経験、クリエイティビティー、戦略的なマインドを持っており、マルベリーのCEOに適任だ。また、ティエリーのこれまでの貢献に感謝している」と語った。

バルドー新CEOは、「重要な時期にマルベリーに加わり、このアイコニックなラグジュアリーブランドが持つ、サステナビリティに関する高い信頼性をさらに育んでいけることをうれしく思う。同社のビジネスと優秀なチームを、次章へと率いていくことを楽しみにしている」と述べた。

23年度は4%減収の見込み

 

マルベリーは以前から成長が鈍化していたが、18年に卸先の英百貨店ハウス・オブ・フレーザー(HOUSE OF FRASER)が破綻したことによる300万ポンド(約6億円)の特別費用の計上、その後のコロナ禍、また英国がEUを離脱したことに伴い20年末に外国人買い物客向けの免税措置を廃止したことなどの影響で、さらに苦境に。業績を改善するべく、直営ビジネスの強化や、売り上げの約90%を占めるレザーグッズへの注力といった施策を取ってきたものの、結果は芳しくない。23年3月期の売上高は前期比4.4%増の1億5910万ポンド(約326億円)と増収だったが、コロナ禍前である19年の1億6630万ポンド(約340億円)を下回っている。また、同社が24年5月1日に発表した速報によれば、マクロ経済の悪化やラグジュアリー需要の低下などにより、24年3月期の売上高は同4%減(現地通貨ベースでは2.7%減)になる見込みだという。

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